一人百態

張 志穎

作者によるコメント

今までの人生を整理すると、考えはいつも矛盾に満ちている。私は二分法で過去や未来の善し悪しを見分けたくない。私は百種の生活を描いて、過去と未来があって、妄想もある。私たちは百種の人生を同時に生きることができず、百種の形態を同時に持つこともできない。しかし、自分はいろんな身分をなりすませ、異なる身分で生活に対応しようと努力している。「迷わずに前を向こう」の気持ちを抱き、「一人百態」という本を製作した。

担当教員によるコメント

100点におよぶ奔放なドローイングをB1の大型上製本一冊にまとめあげた圧倒的な卒業制作。ページをめくるたびに思わず息をのむ展開が実に見事だ。強烈なビジュアルパワーの集積である。〝描く〟というプリミティブな表現行為の魅力を、あらためて再認識させる素晴らしい成果だと思う。
ZHANG Zhiyingには哲学的なところがある。自身の存在意義、また、現代社会の中で生きていくことへの意味について常に思考していると語る。彼女が生み出す多彩な表現の背後に得体の知れない何か強固な存在を感じるとするならば、そんな真摯な生き方そのものが実直にクリエーションに反映しているからだろう。この卒業制作もしかり。楽しみな本物の登場である。

教授・澤田 泰廣