Venus

長沼 寧々

作者によるコメント

美しく、綺麗でありたい。それは古くから女性が変わらず持つ意識だと思います。しかし、理想とする容姿に変容または維持させるためには大きな犠牲が伴います。それは肉体的な痛みから、リスクへの不安や持続的な我慢、時間的拘束など精神的なものも含まれます。そのような多くの犠牲をはらいながらも、それぞれが自分の理想とする姿に近づこうと精進する意思そのものが美しいと思い、立体作品で表現しました。

担当教員によるコメント

長沼寧々は、女性の美に対する貪欲な精神と、その際にあるリスクという、表裏にある明と暗を見る人に提示してくれている。表現媒体として、立体という事を選択し、3点のオブジェを身体の部位によって分解し表現に昇華している。それは、美しさというには、痛々しさを伴う危うい表現であり、その事を通して、人間の進化の意味を考えさせてくれる作品だと思う。美しさというのは、外面の事なのか?内面の事なのか?この作品は強烈に教えてくれている様に見える。彼女は元々、立体制作を主とした制作をしている訳ではないが、今回、新たな表現に挑戦し、素材を扱い、試行錯誤の結果、この様に形を生み出せた事は、この先、世に出て仕事を進行していく中で、様々な予想外に起こる出来事すらも、良い方に転換出来る物づくりのコツを手にいれたと思う。

准教授・平野 篤史

  • 作品名
    Venus
  • 作家名
    長沼 寧々
  • 作品情報
    ジェネラルグラフィック
    技法・素材:石塑粘土、アクリル塗料、ポリエステルメッシュ、発砲硬質ウレタン、ステンレス線
    サイズ:立体=H1200×W390×D390mm、H1400×W540×D540mm、H1000×W390×D390mm
  • 学科・専攻・コース