雨 雪 雫 池 湖 川 滝 海 雲

森川 結以

作者によるコメント

「絵画」「イラストレーション」「グラフィックデザイン」など、幼少期から現代に至るまでの制作物を、水を題材にした写真と合わせて作品にしました。本は、合唱組曲「水のいのち」の歌詞を引用し「雨」「水たまり」「川」「海」「海よ」と、水の有り様を描いた構成になっています。全部で100の絵と写真から成り、水の織りなす光景と自分自身の制作を重ね合わせて表現しました。

担当教員によるコメント

全ての見開きから「森川結以」が立ちあがるブックデザイン。そのビジュアル要素だけで構成されたポスター群。これほどまでに卒業制作にふさわしく、高い完成度のデザインは稀だ。九つの漢字が並ぶ題名の作品集はA3変型216頁のボリューム。主体は、雫から始まり海へと至る「水」の多様な写真。そこに4年間で創作した描画・図像・造形を対比的に組み合わせている。異なるふたつのビジュアルを対として観せる構成が、表現に厚みと深み、新鮮な気配を生みだした。そして高野喜久雄の詩「水のいのち」を添えることで、さらにイメージが豊かに拡がる。的確で静かなタイポグラフィデザインは装幀にも及んで造本を貫き、完成度に貢献している。今作を励みに、充実した制作を続けてほしいと思う。

教授・木下 勝弘