永遠の花

小澤 みのり

作者によるコメント

時に人は花を通して感情を表す。
花は表情、行為、言葉を内包している。
それは愛であり、感謝であり、祈りである。
そんな花に人は人の姿を重ね、思いを託すのだ。
この世の花の姿はいずれ消える。
しかし、そこにあった事実は残り続け、
永遠の、記憶の花になる。
直接言葉を語らない花を文字そのものにすることで、
より強い思いを伝えられると考え制作した。
永遠の花に、私の人生に関わってくれた全ての方への
愛と感謝と祈りを込めて。

担当教員によるコメント

小澤みのりは、人間性の奥底に柔らかな優しさ、というベースが根付いており、その気持ちを作品に転換してきた。その方法として、彼女が取り組んできたタイポグラフィーという方法で、感謝の気持ちを自分で文章をつくりそれをモチーフにしているという事が、いかにも彼女らしい。気持ちを伝えるという意味として、花を贈るという発想であるが、繊細な立体表現によって、花弁の形を作り込み、独特な平仮名を形成している。俯瞰して見ると美しい花の群生に見え、近づいて見ると文章が見えてきて、更に近づくと一つ一つ手作業によって形作られた花びらが、愛らしい個性となって見えてくる。この構造そのものが、彼女の考える作品としての魅力の現れであり、決して大きな声ではないが、一言一言に込めた丁寧な心を感じる事が出来ると思う。

准教授・平野 篤史