卒業制作優秀作品集2022
グラフィックデザイン学科
亀山 春菜
私たちはどこへ行けるのか
イラストレーション
技法・素材:アクリル絵具、カラーペン、油性マーカー、色鉛筆
サイズ:イラストボード=H1030×W728mm(6点)
高度経済成長もバブルも終わった後に生まれ、今現在を生きる私たち。自由を獲得しつつあると同時に、どこへ行けばいいのか分からなくなっている。ステレオタイプの幸せが、自分にとっての幸せとは限らないと気付き始めている。
殆どのことに、意味など無いんじゃないかと時々思う。もしもこの先有名になったり、お金を沢山稼げたりしたとして、何になるのだろうか。私たちはどこへ行けるのか。そもそも、そのどこかはあるのだろうか。
担当教員によるコメント
ゴーギャンの絵画作品を思い起こさせるタイトルのついた本作は、作者である亀山春菜が自ら抱く社会に対する空虚感や生きることに対する空白感の表現を試みたインディペンデント・ポスター群である。自身の感覚から周りの環境や社会構造に視野が及んだ結果、6点の肉筆ポスターシリーズとして展開されることとなった。画面内に配された各小題はそれぞれの画と響き合い、その自己破壊的な画面構成と相まって作者が内面に抱く感覚的な内容を浮き彫りにしている。また実画材を用いた大らかな表現はあっけらかんとして瑞々しく、作者の呼吸や思考の痕跡までも感じさせるものとなっている。結果としての画面は動的で危うげな、新鮮なビジュアルコミュニケーション表現としての結実を見せている。
非常勤講師・柏 大輔