心象の具現化によるストーリー創造

森内 洸介

作者によるコメント

私が作品を制作するに当たって大切にしているのは自分の世界観です。自分の心の中の世界観を4つのガラス箱の中に形作りました。箱の中にはそれぞれ主人公となる生物と、心の住人が存在します。生物が箱の中を自由に動き回ることで観測する位置や時間によって変わった視点をみることができます。それにより観測者それぞれが自分の中に異なるストーリーを創造させることができます。
心の世界を立体化するにあたり全ての箱に苔などの植物を使用しています。生きている植物を使用することによって、生々しさや枯れていく変化を感じることができます。移り行く心のありようを表現する為に作り物ではなく天然の素材を使うことを意識しました。

担当教員によるコメント

四つのガラスケースにつくられたジオラマが、古木の上に置かれ並べられている。それらは、鑑賞者がそれぞれの物語を紡ぐための装置だ。作者自身の物語ももちろんあるが、それを表に出すことはしていない。その断片をシャドーボックスという手法を用いて描いた半立体のイメージ漫画として提示しているだけだ。ジオラマは生きた苔や植物、石、土などでつくられており、そのなかには物語の登場人物らしきフィギュアやオブジェが配されている。ケースの中を良く見れば、石や植物の陰を生きたヤモリが這っている。このヤモリは物語の主人公なのだろうか、あるいは作者の投影か、それとも観ている自分自身なのか……。そういうことを考え始めたなら、すでに作者の術中にはまっているということだ。

教授・永原 康史

  • 作品名
    心象の具現化によるストーリー創造
  • 作家名
    森内 洸介
  • 作品情報
    立体、インスタレーション
    技法・素材:ガラス、土、苔、Clip Studio
    サイズ:H2000×W5000×D2000mm
  • 学科・専攻・コース