高みの見物/To see it rain is better than to be in it

加藤 広太

作者によるコメント

今作は、1953年に起こった立川基地グローブマスター機墜落事故をモチーフとし、インスタレーションという形式を用いて制作された。
墜落事故の記録には、米兵が規制線を張って事故現場を封鎖した出来事が残っている。作家が作品を設置することで伴う「空間を占有する」という性質と、墜落事故での記録をパラレルに捉え、展示物の落下事故という架空の出来事を再現した。

担当教員によるコメント

加藤くんは、1953年6月18日の立川基地グローブマスター機墜落事故と、その後の基地の拡張に対して起こった砂川事件をモチーフに、虚構と現実、シミュレーションと経験の問題、そして空間における身体の配置や、映像や対象とのフィジカルな関係を、インスタレーション制作を通じて探究してきた。その背後には、SNSで拡散するフェイクニュースや、国家や権力によるメディアコントロールの問題も垣間見える。建設部材を援用した身体スケールのインスタレーションは、体験者の身体の高さや向きを、半ば強制的に変化させることで、知覚の側から人間の概念や思考に影響を及ぼす。オブジェクトや映像と身体が複合的、かつ逸脱的に交錯するその体験は、極めて思索的かつ挑発的だ。

教授・久保田 晃弘

  • 作品名
    高みの見物/To see it rain is better than to be in it
  • 作家名
    加藤 広太
  • 作品情報
    インスタレーション
    技法・素材:ディスプレイ、仮設足場材、フェンス、プラモデル、砂、サイレン、映像、3Dプリント
    Credit:Exhibition Technician/ Kota KATO Riku FUJII
    Staff:Wataru BANBA
    サイズ:サイズ可変
  • 学科・専攻・コース