しりとり

髙下 幹人

作者によるコメント

『しりとり』という単純なゲームには、単語の羅列、繋がり、都合により、様々な情報が内在されています。
この混沌とした世界感をアニメーションで表現しました。

担当教員によるコメント

従来のアニメーション表現は、何がどのように物語るのか、テーマやキャラクターの設定や造形、物語などを追求することが重要とされているが、高下は構造と手法によって、アニメーション表現自体のフォームをアップデートしようと制作に取り組んできた。その探求によって、しりとりという構造の中で展開される線画のアニメーションというレイヤーの下に、オブジェクトのテクスチャーと背景がそれぞれ独立して動くテクスチャーの動きが混入され、時間構造と層構造が独立平行に混在しながら進んでいくという、非常に複雑で稀有な質感を持った作品を作り上げた。オブジェクトの変化を見ていたと思ったら、いつの間にかテクスチャーの動きを見ていて、そのまま背景とオブジェクトの関係に目がいってしまう。部分と全体を行き来しながら、自分の意識の立ち位置を見失うイリュージョンがそこには発生しているのだ。

准教授・菅 俊一