糸の彫刻

松坂 陽日

作者によるコメント

私は糸の素材研究として線で立体を作ることと、糸を巻きつけてできる濃淡や模様に注目して作品を制作しました。
糸で作ることでそのものの機能や色、素材の違いを消し、身近なものの形を改めてみることができると思います。
また、硬いものは硬く、色の濃いものは濃く見えるように糸の量を調節し、糸を使った表現でできるそのものらしさを考えながら制作しました。
モチーフから糸を外すことが難しく、手法を見つけるまでに苦労しました。何度も試行錯誤を重ね、糸が自然にその形を保っているように見えるよう工夫しました。

担当教員によるコメント

冬の日の朝、窓を開けると降り積もった雪が、見慣れた風景を、はっとする美しさに変えてくれる。そんな感覚を抱かせてくれる作品である。ものを白い糸に変換するというシンプルなアイデアであるが、ものの抜け殻のような面白さがある。巻きの濃淡、疎の部分の透け感、糸の秩序と不規則な流れ、糸そのものの光の反射など、様々な要素によって、サーフェイスに豊かな白の表情を生み出すことに成功した。細い糸だけで、自立する強度を持たせるために苦労があったが、スタディを繰り返すことで見事にその課題を乗り越えた。

教授・永井 一史、非常勤講師・岡室 健

  • 作品名
    糸の彫刻
  • 作家名
    松坂 陽日
  • 作品情報
    素材研究
    技法・素材:手縫い絹糸、スチノリ
    サイズ:皿(大)=H220×W220mm/皿(小)=H160×W160mm/カトラリー=H180×W40mm/瓶=H250×W80mm/紙コップ(3つ)=H94×W68mm/りんご=H100×W100mm/ハンガー=H130×W410mm/洗剤詰め替え容器=H260×160mm
  • 学科・専攻・コース