ケッ!

関 貴則

作者によるコメント

絵が好きなので、その見せ方について考えています。今回は絵と鑑賞者との距離に重点を置いていました。とは言っても狙いは心地よく見せるためではなく、緊張感があり少し居心地の悪い空間を作るためでした。
折れている絵は、壁以外の空間にも絵を展示するために自立するよう作っています。この世にあるほとんどの絵は完璧な平らになってはいない(曲がっている)と思うので、それを強調させた折れている絵も立体ではなく絵だと主張したいです。

担当教員によるコメント

関貴則さんは、制作量が多く様々な展開を経て現在に至っている。小さなサイズから大作まで身近なモチーフを絵具のテクスチャーやストロークを生かして感性豊かな作品を描いてきた。3年になるとキャンバスの側面に奇妙なフォルムが出現した。平面作品があたかもオブジェ化したようで、それでいてキャンバスには対象がダイナミックに描かれていた。さらに4年になるとキャンバスが折れたりねじれた状態で物体として床に立ち上がり、まるで立体作品のように空間に自立し始めた。卒業制作では、作品の見せ方や鑑賞者との距離についても考察し、緊張感のある空間を作り出している。一部屋を全部使って大量の作品群がひしめく状態は、奇妙なモンスターに囲まれているようで見る人を圧倒させる。

教授・木嶋 正吾