Mark

清水 大矢

担当教員によるコメント

彼は、「絵」が並ぶホワイトキューブのような空間を描こうと決めていた。しかし、その「絵」と一緒に描いてしまった若い男と女によって、白い部屋は夜の小道や疾走する軽トラの荷台の上になってしまった。この巨大な1枚に至っては、もはやイメージはバラバラに摩滅し物語のつけ入る暇もない。「絵」と鑑賞者たちの、怪しい刹那の情景、あるいは豊穣の震える色の粒子。とても魅惑的だ。「絵」は世界を震わせ壊しもするし作りもする。激しいこの往還が画家の営みだというように、巨大な絵の左に描かれた黄色いショベルカーが大地を掘り起こしている。色の大気を掻き回して絵を描く清水は、いつも絵の具まみれ。画中画のこの仕事によって、彼は「絵」の中に、少し入ってしまった。

教授・石田 尚志

  • 作品名
    Mark
  • 作家名
    清水 大矢
  • 作品情報
    素材・技法:キャンバス、顔料
    サイズ:H2910×W2910mm、H1455×W1455mm、H1455×W1455mm、H1455×W1455mm、H1455×W1455mm
  • 学科・専攻・コース