オーバーラップ

竹村 碧

作者によるコメント

写真とキャラクターの共通点、それはどちらも立体(三次元)であるように見せかけた平面体であるということだ。その考えに基づき、写真とキャラクターそれぞれの図像に穴を開け重ね合わせ、一枚のイメージとして統合させることによりどちらも平面上に存在するものだ、ということを検証するための作品である。
また、住宅街等の写真そして美少女キャラクターといったモチーフの選択意図としては、どちらも「様式美」に基づいたものであること、そして作者または撮影者の差異に耐えうる「同一性存在感」が共通していると考えたため。

担当教員によるコメント

竹村碧はアクリル板の両面にシルクスクリーンとUVインクジェットプリントで印刷している。選ばれる画像は竹村自身が描く理想の女の子とごくありふれた近所の風景である。竹村自身、理想化された架空の女の子を描くことに強いこだわりを持ちながらも、単純にそのまま提示することに違和感を覚えていた。つまり、頭で思い描いた理想像をそのまま表現しても、それは内閉化した予定調和に過ぎない。彼女が行おうとしているのは、ごく日常的な町並みと組み合わせることによってその理想像を揺り動かすことだ。次元の異なる像と組み合わせることによって、理想像は予定調和から離れ、別の可能性に開かれた像へと生まれ変わる。つまり理想像は頭の中で完結させるのでなく、二つ以上の関係性の中から生じさせるということだ。竹村はここに自身のリアリティーを求めたのではないか。

教授・大島 成己

  • 作品名
    オーバーラップ
  • 作家名
    竹村 碧
  • 作品情報
    技法・素材:UVプリント、シルクスクリーン
    サイズ:H841×W594mm(1点)、 H594×W841mm(2点)
  • 学科・専攻・コース