糖質依存症

磯崎 海友

作者によるコメント

棺桶の中で寝ている人物は甘味に依存する私、参列者は糖質過剰摂取で女として死んでいる私を哀れみ嘲笑う容姿の綺麗な女性達である。普段何気なく見るSNSに溢れる「女性たるもの綺麗であるべき」「醜い者に人権は無い」等の言葉、何処かの誰かが決めた基準とその条件を満たすための生活。SNS時代マジョリティ的女性像からしても、心身共に健康の面からしても、側から見て私の糖の過剰摂取は死へと向かう行為だ。それを俯瞰した様子をこのように表現した。

担当教員によるコメント

身の回りに起こりうる社会のさまざまな不文律を、自身のリアリティーを持って考察し作品化している。その思考は何度も反芻しながら納得のいくまで繰り返される。作者の昨今のテーマは「HOLIC=中毒」である。棺桶に横たわる人物は作家自身であろうか。様々な菓子に取り囲まれ、親族に看取られながらもなお、甘い物への執着を拭い去ることができない。「過ぎる」ことは中毒への道でる。時に生死に関わることになってもやめられない、そんなイメージを作者の独特な感性で表現している。また、この作品からは現代人が抱える悩みや葛藤のようなものも感じられる。画面には、周りに佇む喪服の人物を大胆に配置し、横わる人物と詰め込まれる菓子類を細やかに描き込み対比させることで、自ずと目線がそこへ集約されている。見応えのある完成度の高い作品として高く評価する。

教授・佐竹 邦子