永遠を望む

古屋 結子

作者によるコメント

家族LINEに流れてきた一枚の写真は穏やかで残酷だった。おんぶをして笑う姉の写真。終わりがあるという残酷さ。(無論、全ての事柄に言えることかもしれないが。)流れる時を止めることは出来ない、それでも願う事だけは私の我が儘として許してほしいと思う。
この先自分がどう生きて、家族がどう生活して、世の中がどう動いていくのか分からないが、今回制作した彫刻が街のシンボルの英雄のように私の心を安心させてくれるだろう。

担当教員によるコメント

芸術の発生は記憶の具現と永遠への希求と言える。現世の無常を憂い、此岸と彼岸を往還する儚いイメージが物質をとおして顕れ出る時、それは時に神や仏となって、人々の心の拠りどころとなってきた。真っ直ぐに前を見つめ戯れる姉妹。作者は、始まりも終わりも無い輪廻の中で、微笑ましいその笑顔に刹那を見てとったのであろう。「今、此処を感じ、留めおきたい」という純粋な動機と、てらいのないシンプルな造形は、理屈抜きに創造の原点と呼ぶに相応しい。

教授・水上 嘉久