2人でひとつ

飯島 伶圭

作者によるコメント

「みえないものをみてみたい」という考えからこの作品の制作をはじめた。1⼈は⽩⿊の⼥の⼦、1⼈は透明で中⾝の梅⼲しが⾒えている⼥の⼦、背中合わせで体育座りをする姿は2⼈でひとつのおにぎりをイメージして制作した。
おにぎりの中の具は、⼈の持つ軸や核のようなものと同じで、そのおにぎりにとってなくてはならない存在だ。
⼈の持つ軸や核もなくてはならない存在だけど、どんなものか実態が掴めず、⽣活する上で経験や出会いを通して明確にできるよう努め、ずっと探していかなくてはならないと思う。
いつもは外側のご飯に守られ、かじらないと⾒えない中⾝がどんな⾵に⾒えるのか、⾒えるようになった時、表⽪の部分はどうなるのか、表現を続けることでその答えを⾒つけたい。

担当教員によるコメント

透明樹脂は、無垢の中心を表層にさらけ出し無重力に固められた真っ赤な梅干しが水玉の身体を形成している。他方モノトーンに上塗りされた表層は米と海苔をイメージしているそうだ。二人で一つ。
飯島さんは一貫して食物を制作のテーマとして扱ってきた。口から取り込まれた物質が身体のみならず、その人自身を形成していく。彼女は表層とそれを構築する内部の関係を晒す。時にはその身体(モチーフ)は「肉まん」だったりもするからユニークで、その最たる象徴が「おにぎり」なのだそうだ。体育座りする二人の像は、摂取する食物に象徴される内面や存在の本質を背中合わせにさらけ出している。手を動かし、目の前の彫刻素材の変化に驚きながら、新しい発見をする飯島さんが、正々堂々と彫刻の質量に向き合ったことを祝福し、今後の発展に期待する。

講師・中谷 ミチコ

  • 作品名
    2人でひとつ
  • 作家名
    飯島 伶圭
  • 作品情報
    技法・素材:エポキシ樹脂、FRP
    サイズ:H800×W2000×D500mm
  • 学科・専攻・コース