必至の間隔

鈴木 しなの

作者によるコメント

道を調べていた私は、複雑に絡み合う地図がメロンの表皮のように見えました。
部屋で寝転んでいた私は、視線の先にカーテンの襞をみつけました。カーテンを真下から見たとき、時間について形にしたいと思いました。

担当教員によるコメント

カーテンとマスクメロン。カーテンとマスクメロン…。
不思議な相性だが、とても魅力的なマッチングだ。作者の話では、メロンの模様が地図に見えたという部分と、カーテンの揺らぎから着想した作品であるという。
地図上の計画的・効率的に進められた都市開発はマクロな視点で見た時に、そのパターンは結果として自然物であるメロンの成長過程のアルゴリズムに回収され、陶器のメロンが別な世界に見えだすという、ある種の入れ子構造になっている。
そしてその世界は、カーテンの揺らぎという時間軸中に埋もれており、非常にゆっくりとした時が流れていている。
鈴木さんの作品は、他者と自分との時間感覚、自然物と人間との時の流れ方の差異を日常にありふれたモチーフから選び出し、鑑賞者に不思議な感覚を呼び起こす作品になった。

講師・木村 剛士