卒業制作優秀作品集2022
彫刻学科

HU Keni

cry for the moon

技法・素材:ライムストーン、真鍮
サイズ:H800×W980×D980mm

「cry for the moon」は⽂字通り、泣くほど⽉を欲しがるという意味である。さらに、「不可能なことを望む」や「得られないものを望む」を意味する。「名⽉をとってくれろと泣く⼦かな」という俳句もあった。⾃分にとって因縁深い⽉、それは身近な存在であり、同時に儚く、⼿の届かないものでもある。⾃分は所有する創造⼒、想像⼒、信念、思いやりは利益を⽣み出すためではなく、バランスを作り出すためだと考える。
しかし平等、平和を求め続けようとしても、世の中の出来事に怒り、悲しみ、⾃身のバランスを崩すことさえある。理想に溺れないためにも、この惑星から距離を置き、⼼を鎮ませなければいけない。
第三者視点から⾒返し、常に⾃分のあるべき姿を思考しなければいけない。そして、追求し、⾒届けたいと願う。

担当教員によるコメント

人類と太陽、そして月との関わりは生命体としては勿論、文明史としても欠かすことのできないものとして、世界各地において様々な神話や伝説が生まれた。中国、中秋節の故事「嫦娥奔月」(じょうがほんげつ)、不老長寿の妙薬を盗みヒキガエルにされてしまう嫦娥。日本の中秋の名月「お月見」の慣わしも平安時代に唐から伝わったとされている。どれも、いにしえ人の時空を超越した想像力の豊かさに感銘を覚える。この大理石製の月は、現代の某SFよりインパクトを得たそうだが、これも「彫刻」というより、むしろ作者の私的な神話として地上と天界を繋ぐ「憑代」と言えるだろう。

教授・水上 嘉久

  • prev
  • next
  • 稲又 洸太
  • 鈴木 しなの
  • 井上 黎
  • 菅原 陸
  • 柴田 真央
  • WANG Chenyue
  • YANG Tianyu
  • HU Keni
  • 山田 実紀
  • 池内 琢也
  • 古屋 結子
  • 飯島 伶圭

学科TOPへ