稲ワラの活用と新しい表現方法の研究

水永 健太

作者によるコメント

稲ワラの活用と新たな表現方法の研究を行い、編む漉くとは違った視点から新たな可能性を見つける素材研究を行なった。
この作品は稲の繊維を抽出し、乾燥させ、稲と水のみで立体的に成形する。
表面からはダイレクトに伝わる植物感と繊維の長さからくる強さやしなやかさが特徴で、加工性が高くさまざまな形を成形することができる。
日本で古くから活用されてきた稲ワラは、生活の移り変わりで昔のように使用されなくなった。現代では余ってしまう農業副産物であり、うまく活用しきれてはいない。だからこそ、新たに活用や表現方法を研究し、現代に適したかたち、これからの未来に適したかたちを与えることができたなら、そんな稲ワラの新たな可能性やあり方について意識させるきっかけになればと考え制作した。

担当教員によるコメント

水永健太くんの「稲ワラの活用と新しい表現方法の研究」では、稲ワラを煮て繊維質を取り出し、このペースト状の繊維質素材を使った応用作品を広く展開している。
自然物を粉砕し形を成形するアプローチは過去の卒業研究でもいくらかあったが、成形時につなぎ材を要するものが多くあった。水永くんの展開では、つなぎ材を一切使用せず、繊維に着目し、乾燥のみで強度と形状の維持に成功している点が新しい。
繊維質のあるペーストを型に張り合わせながら形を成形し、ある程度の凹凸形状や装飾も手でつまみ、盛り上げる事でコントロールが可能だ。素材活用としてはまだまだハードルは高いものの、紙とも、土とも違う表情と稲ワラ由来の落ち着きある色が独特の魅力として現れている。

講師・尾形 達

  • 作品名
    稲ワラの活用と新しい表現方法の研究
  • 作家名
    水永 健太
  • 作品情報
    技法・素材:稲、水
    サイズ:大円型=H400×W720×D720mm/花瓶型=H300×W150×D150mm/カゴ網型=H100×W200×D250mm/茶碗型=H80×W150×D150mm/丸カゴ型=H300×W200×D200mm/網円柱型=H100×W100×D100mm/ボウル型=H80×W150×D150mm/板型=H8×W250×D250mm
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