metaboon 代謝する靴

大塩 伝恵

作者によるコメント

生きるもののからだは、日々生まれかわっている。古いものは剥がれ落ち、土に還り、そこから生まれた新しいものが、世界をつくっていく。世界の恩恵を受けて、私たちは生きている。
異素材を接着させてつくられるスニーカーは、リサイクルが難しい。まだ生まれかわる可能性を残したまま、埋められて知らんぷりをされる。
metaboonの靴は素材ごとにパーツが分かれているため、簡単にリサイクルに出すことができる。まだ使えるところはそのままに、古くなったところだけを交換する。自分だけの靴をカスタマイズして楽しむ。生き物を感じさせるモチモチとしたかたちは、エシカルファッションの新たなアイコンとなる。
これは、世界の自然な流れに沿って代謝し、循環し、生きている靴。

担当教員によるコメント

環境配慮、サスティナビリティ、SDG’sなど様々な地球に対する配慮や生活者の多様性に対して唱えられている昨今。デザイン思考を学び、デザインワークを実践し、デザインスピリットを高揚させられた4年間の学びを、日常的なファッションカテゴリーであるスニーカーという身近なアイテムにバランスよく咀嚼し、美しく昇華させた秀作です。押しつけのエシカルではなく、美しく楽しむエシカル。また、素材としてのリサイクルプロセスや寿命の異なる素材をパーツ化する事での合理的エシカル。作者自身も書いている通り、代謝と循環がアイコン化されています。また、作者がこの課題に真摯に向き合う為に、敢えて大手のスニーカーメーカーに長期間にわたりインターンとして参加させて頂きながら、プロセスを学び試行錯誤したことでの完成度にも目を見張るものがあります。

教授・中田 希佳