廻る世界のカラクリ仕掛け

加藤 瑠歌

作者によるコメント

世の中の仕組みに向き合う「カラクリ装置」を制作した。

このカラクリ装置は4層構造からなり、1層目が人と心臓、2層目が動植物と食物連鎖、3層目が細菌、4層目が宇宙をモチーフにしている。

右側面にあるハンドルを廻すと全階層が連動して廻りだし、世界に影響を与えて動かしているのは自分自身であると同時に、自身も世界に組み込まれた歯車で、連動する法則の中で生かされているということを表現。

デジタル化により、物事の仕組みをわからないままでいることが当たり前となった世の中で、目を引くカラクリ構造の面白さを通し、物理的な構造の仕組みと、世の中の仕組みに好奇心を持って疑問を抱くきっかけを作る。

わからないものを理解しようとする過程で育まれる想像力を引き出す。

担当教員によるコメント

からくりには思わず近寄って見たくなるような、引き込まれる魅力がある。動きを追いかけてしくみを突き止めたくなるのと全く同時に、からくりが作り出す物語を鑑賞するという、とても不思議な感覚だ。この魅力に取り憑かれた作者も、からくりの専門家ではない。しかしからくりで表現したいという思いが、学びを後押ししたのだと思う。ハンドルを回すと一気に角層が動き出す。大きな心臓が目に入る。それを手前の小さな人が動かしている。よく見てみれば少しずつ関連していることが感じられる。完全にコピーできるほどの理解はできないが、感覚的に近づき、もう少しで理解できそうに思う、その瞬間の魅力は、人が新しい知識を取り入れ学んでいくプロセスの魅力そのものではないだろうか。

教授・大橋 由三子