短編アニメーション/寶

田野倉 凜

作者によるコメント

道で拾った謎の筒の持ち主を見つけるため、街中を歩き回る小鬼のショートストーリーです。
作中には筒をはじめ、たくさんの「もの」が登場します。探索絵本のように、見る人が色々なものや要素を見つけて楽しんでもらえるような画面づくりを目指しました。約5分のストーリーをテンポよく感じてもらうため、動きのリズム感を大切にしながらキャラクターを動かしています。
また、個々人が好きなものに囲まれて自由に過ごすことの良さを表現したかったため、見た目も個性もバラバラな「妖怪」の世界を舞台にしました。妖怪たちにはセリフがないので、展開が伝わりやすいアングルや動きをシーンごとに考えながら描いています。

担当教員によるコメント

田野倉凛さんは頭の中に思い描いたイメージを視覚化するドローイングのスキルがとても高い。そのスキルは、プロダクトの提案を行う際、モノの形を明示するだけではなく、モノが使われるシーンを伝えたり、考えているメッセージを伝達するのに大いに効果を成していた。卒業制作では、そのドローイングの才を短編アニメーションとして作品化している。アニメーションでは、動きを伝えるために枚数を描く必要がある。膨大に作業量が増えるものの、一方で、時間軸を使いこなせば、観る人の目線をコントロールすることもできる。枚数を描くが故に必要になる形の省略、観て欲しいことや伝えたいことを表現するためのディテールの描き込み。それらをバランス良く組み込んでメッセージを伝える作品として仕上げている。

教授・濱田 芳治