鉛筆デッサン
・形が正確に描かれているか。
・空間の距離感が表現されているか。
・陰影が的確に表現されているか。
きわめて基本的なデッサンで、なにもひねったところはありません。しかし、籠ひとつだけというモチーフにとまどった人も多かったと思います。やさしそうでなかなか手ごわい相手です。籠の編み目にとらわれすぎると説明的、平面的になってしまうし、細部の寸法やプロポーションなどのバランスを間違うと全く別のものに見えてしまいます。穴の向こうが見えているかどうか、籠の中に空間があり、その向こうの壁との間の空間が描かれているかどうかがポイントになります。
空間デザイン
・出題の条件が理解されているか。
・全体に一貫した意図が感じられるか。
・材料の特性が生かされているか。
・正確な工作ができているか。
環境デザインの仕事は多くの外的条件をクリアした上で何を表現できるかという仕事です。空間デザインの試験はその第一歩です。与えられた条件を満たしているか、盤面と立体、それぞれの造形だけでなく、両者によって作られる空間が意識されているか、それぞれの関係性が考えられているかどうか、透明、半透明、不透明、という素材の特性が生かし、色彩との関係が考えられているかどうか、そして全体が一貫したコンセプトで作られているかどうかが問われます。
今回残念だったのは、前年度の参考作品集に載った作品とよく似た表現が多く見られたことです。参考作品は優秀な作品ではありますが模範解答というわけではありません。同じ出題条件でも答は無数に存在します。表面的にまねをするのではなく、空間とは何かを自分で考えてください。そのためには机上で練習するだけでなく、実在する空間、建築でもインテリアでもすぐれた実例を体験して、空間の成り立ちを理解する目をやしなうことが大切です。