鉛筆デッサン
出題のねらいは、デザイナーとしてヴィジュアルコミュニケーションするのに必要なデッサン力を求めています。それには、創作の原点ともなる日常の観察、そこから生まれる発見、考え、ひらめきなどが引き出せるよう想定デッサン問題にしております。過去に出題された 1「あやとりをする手」2「ピンポン玉を2個持つ自画像」3「美しいポーズの両手」4「人体」5「両手で鳥を持っているポーズ」6「両手と白い一枚の紙との美しい関係」7「二人の両手」8「手と動物」9「両手と一冊の本で読書を表現」と解るよう特別なものではなく日常の生活の観察からうかがえる想定デッサンとして意図されています。
色彩構成
例年、むだな形や色彩が氾濫した作品か多かったが、今年は、問題文の条件でそれを抑えたため、全体に画面が整理される結果になった。しかし「風」の文字にとらわれて、目的のイメージ「さわやかで広々とした自然の風景」が感じられない作品が多かったのは残念である。条件を満たすことは絶対に必要であるが、目的のイメージをすっきりと打ち出すことが最も大切である。テーマに合致した整理された知的な構成と、テーマに合致したニュアンスのある配色を私たちは求めている。
制作にあたっては以下の4点に注意してほしい。1 平面としての構成美を第1とし、細かい描写は省略する。2 色数が多すぎて配色の効果が失われたり、逆に色彩が消極的なために視覚的豊かさが不足しないように。3
課題違反はその程度に応じて大きく減点されるので、問題文をよく読み、条件は完全に満たすように。4 テーマをひねって考えるより前に、まず出題が何を求めているのかをよく汲み取るように。
昨年までの本覧の文章も合わせて理解してほしいが、参考図版はあくまでも入試作品の実際例にすぎず、私たちが理想とするものではないので誤解のないようにして、日頃から自分らしい研究をすすめるようにしたい。