クリックすると大きい画像が見られます

  

入学定員―125名

入学試験科目・配点・日程
 2月10日(日)
  国 語(100点)―10:00〜11:30
  外国語(100点)―12:00〜13:00
 2月11日(月)
  鉛筆デッサン(100点)―10:00〜16:10
  (12:30〜13:40は昼休み時間)
 2月12日(火)
  油彩「人物」(100点)―10:00〜17:10
  (12:30〜13:40は昼休み時間
  

鉛筆デッサン(5時間)
 「湿度」という言葉のイメージと与えられたモチーフを関連させて描きなさい。

(モチーフは試験終了後回収します)
 ・粉末顔料の使用は認めない。
 ・水、溶材等の使用は認めない。
 ・参考資料等の持参は認めない。
 ・上記に違反した場合、失格になることがある。
使用紙:サンフラワーペーパー・M画・B3
   

油彩「人物」(6時間)
 モデルを描きなさい。
 ・粉末顔料の使用は認めない。
 ・参考資料等の持参は認めない。
 ・キャンバスは大学で用意したものを使用する。
 ・上記に違反した場合、失格になることがある。
使用紙:キャンバスP15号
  

鉛筆デッサン
 過去の出題に比べて、今回は抽象性が強い出題となった。「湿度」という言葉から生じるイメージは、我々の生活に密着した事実ではあるが、その受けとめ方にはより個人の生活環境や経験が介在し、安易な描写的説明だけでは成り立ちにくい。一方CD-Rは、それとは正反対の現代を象徴するメカニカルでドライな表情を持つ。しかし、記号化され圧縮した情報を収納するという意味において、単に素材感だけを考えたモチーフではない。
 一見結びつきそうになく、相反するとも思えるテーマ及びモチーフから、どれだけイメージを膨らませることが出来るか、また、安易な画面処理のみに陥らず、いかに自らの世界観が構築され、新鮮な作品が生まれるかを見たい。

油彩「人物」
 背景には特に手を加えず、たっぷりとした白いシャツをはおって自然にくつろぐモデルの出題。「白」を絵の具の色としてではなく、絵の中の色として表現するのは難しいという定説があるが、絵である(成立している)限りは「白いシャツ」になっていなくとも、それが決定的な減点にはならないだろう。
 モチーフとして情報量の少ない分、明確な意図がないと平凡な作品となる危険性もある。
 総合的な造形力に加え、このような状況での各自のイメージの展開力も見たい。
     

鉛筆デッサン
 デッサンに関してはやや期待外れであった。大半は「湿度」を水滴で表すなど、ステレオタイプな回答ばかりが目立ち、イメージの貧困さを感じた。また、CD-Rを口にくわえている作品も多く、制作の手がかりとして何がなんでも自画像を取り込むという、あらかじめ用意された対策が垣間見える。このようなデッサンは出来るだけ採らないように心掛けたのだが、あまりにもそのような作品が多く、残念ながら評価の基準を広げざるを得なかった。
 イメージとは、作品の技術的な充実度とはべつに、個人の経験による解釈に源があるとすれば、ほとんどの場合、受験として効果的な戦略に忙殺されてしまい、その源までには立ち向かえなかったと言うことなのだろうか。

油彩「人物」
 昨年に比べ、ユニークな作品は少なかったように思う。もちろん奇をてらったものを期待しているのではないが、技術的なレベルでの向上が、一方では平均化という傾向をもたらしている感は否めない。
 作品の技量、表現力が水準以上であれば合格の可能性大だが、上位合格者の作品は、技量というよりも、トータルな意味での表現力が優れていると言える。たとえば、本年度も複数の作品で見受けられる問題点として、背景を同一のパターンで処理している作品、顔のうちの鼻と手のみにポイントをおく作品等は、類型化しているという点においては表現力があるとは呼べないだろう。デッサンにも言えることだが、表現力とは技術・技法だけではなく、個人の経験によって成り立つ感性にあるとするならば、受験という緊張状態を考慮したにせよ、その新鮮で素直な表現をあくまでも理想として挙げておきたい。
   

入学試験問題・「実技」参考作品集2002