入学定員―120名

入学試験科目・配点・日程
 2月10日(月)

  国 語(100点)―10:00〜11:30
  外国語(100点)―12:00〜13:00
 2月11日(火)
  鉛筆デッサン(100点)―10:00〜16:10
  (12:30〜13:40は昼休み時間)
 2月12日(水)
  油彩「人物」(100点)―10:00〜17:10
  (12:30〜13:40は昼休み時間)

鉛筆デッサン(5時間)
 与えられたモチーフにより「私と色彩」について自由に描きなさい。

 ・粉末顔料の使用は認めない。
 ・水、溶材等の使用は認めない。
 ・参考資料等の持参は認めない。
 ・上記に違反した場合、失格になることがある。
使用紙:サンフラワーペーパー・M画・B3

油彩「人物」(6時間)
 モデルを自由に描きなさい。
 ・粉末顔料の使用は認めない。
 ・参考資料等の持参は認めない。
 ・キャンバスは大学で用意したものを使用する。
 ・上記に違反した場合、失格になることがある。
使用紙:キャンバスP15号

鉛筆デッサン
 今回のモチーフは色紙(いろがみ)セット。正方形の光沢のない各色の色紙の他に、メタリックで少し鏡面効果もある金紙と銀紙があり、さらには、色紙セットを包んだ透明なセロハン紙もある。こうした、テクスチャーの異なる紙が「もの」として目の前にあるが、しかしそれらは単なる「もの」ではない。そこには、モノクロームの鉛筆デッサンでは表現しにくい、それぞれの「色」がついている。
 モノクロームで「色」をどう表現するか。「もの」としての紙を描写しながら、同時に「色」について自分なりの考察を巡らし、それをも表現しなければならないだろう。それはかなり難題かもしれないが、その難題にぶつかった葛藤の中から、安易な画面処理の技術を超えた、総合的な構想力を発揮してほしい。

油彩「人物」
 白いTシャツと、同じく白のショートパンツを身につけたモデルが椅子に座り、膝の上に透明なアクリル・ボックスを置いて、両手でそれを支えている。背景には、小道具も何もない。鉛筆デッサンとは逆に、ここでは「色」が希薄だ。それを、どう色彩で表現するか。また、アクリル・ボックスは透明なので、何もない空間に両手が浮いているようにも見えるが、その空白の空間を、どう表現するか。
 一見して絵になるポイントの少ない出題だが、それだけに、人物がそこに確かに存在するという量感や、「色」が希薄な中での色彩感覚、そして空間感覚など、描くことの最も根源的な力が試されることになるはずだ。

鉛筆デッサン
 色彩についての思考や、そこから発する豊かなイメージの展開を期待したのだが、残念ながら期待に応えるものは少なかった。油彩も同じだが、受験勉強の中で繰り返してきた手慣れた描法に、むりやりモチーフを当てはめるようなものが目立った。自分の顔や手を描き、そこにただモチーフを配するだけというような、事前に準備してきた安易な方法だ。そのような類型化したデッサンは、よほどの技量がない限り、評価はどうしても低くなってしまう。
 受験デッサンとはいえ、「これは自分の作品なのだ」という気概をもって、全力で課題に立ち向かい、課題の意味を考える中から、真摯に構想を練ってほしい。そのような作品こそが、自ずと採点者の眼を引き付けて、評価も高くなるのだ。

油彩「人物」
 前年度までの合格者参考作品を、そのままなぞったような作品が、いくつか眼についた。そこまでひどくはなくても、例年のことだが、参考作品から傾向と対策を考えたと思われる作品が数多くあった。しかし、それはあまり意味のないことだ。参考作品として紹介しているのはほんの一部でしかないし、採点する教員はそれぞれ全く異なった傾向の作品を作る作家であり、その評価の基準も多様多彩である。したがって、今回も合格者の作品は実に多彩であり、そこに典型的な「傾向」などというものはないと言っていい。
 それでは、何が採点のポイントになるのか。技量が水準を超えて高度なものは、もちろんポイントが高い。しかし、数多くの作品が並ぶ中では、ただ小手先の技術だけを追い求めたような中途半端な技量の作品や、類型化した表現を見よう見まねでただ繰り返しているような作品は、自ずとポイントが低くなってしまう。かといって、奇をてらいすぎた小賢しい作品も、採点者によって簡単に見すかされてしまう。
 大切なのは、一枚の画布を前にしたときの新鮮な感動であり、そこにこれまで自分が培ってきたすべてを表現しようとする、率直な姿勢である。それを、採点者は見のがさないだろう。