情報デザイン学科(情報芸術コース・情報デザインコース)
平成16年度入学試験(一般入学試験)

入学定員―80名(情報芸術コース40名、情報デザインコース40名)

入学試験科目・配点・日程
 2月9日(月)

  鉛筆デッサン(100点)―10:00〜13:00
 2月10日(火)
  国 語(100点)―10:00〜11:30
  外国語(100点)―12:00〜13:00
 2月11日(水)
  デザイン(100点)―10:00〜16:10
  (12:30〜13:40は昼休み時間)

実技問題

鉛筆デッサン(3時間)
 情報化社会の中で、コミュニケーション・ツールを使って対話している「手」を描きなさい。「手」以外に任意の物を描いてもかまいません。

※コミュニケーション:意思伝達の手段
※ツール:道具

用紙は縦方向に使用。
使用紙:BBケント・A3

デザイン(5時間)
問題
 人間は、眼、耳、鼻、舌、皮膚などの器官から必要な情報を得ます。
 あなたの記憶に残る体験をひとつ選び、その体験を「感覚」、「知覚」、「認知」(注)の3つの過程から描写し、それを図と文章で平面構成しなさい。
(注)
 感覚:眼や耳などの器官が外部からの刺激を受ける体験。
 知覚:器官からの刺激情報を形や色、あるいは音などとして感じる体験。
 認知:知覚内容を、意味や対象間の関係として理解し、概念、記憶、推論、想像を構成する体験。

配布物
 1. 用紙A(解答用)A2サイズ(縦420mm、横594mm)白ケントボード1枚
 2. 用紙B(解答用)両面カラー色紙(縦272mm、横392mm)一式
 3. 用紙C(下書き用)A3サイズ(縦297mm、横420mm)白紙2枚
 4. ナイフの下敷き用ボール紙

条件
 解答はA2ボード全面、横位置で使用する。
 配布物は自由に使ってよい。
 ひとつの過程の図と文章は関連させる。
 全体の背景や色彩構成を考えながら表現する。
 作品にタイトルをつける。場所、大きさ、位置は自由。
 記名票は右上に図のように貼る。

注意
 試験終了後、作品は係員によって積み重ねて回収されます。
 貼ったものが剥がれないように、糊でしっかりと固定してください。

実技問題出題のねらい・意図

鉛筆デッサン
 情報化が進む現代社会のなかで、美術表現の要でもある「手」の感覚はどのように変化していくのだろうか… 世界と繋がったインターネットにより、手の感覚は拡張したと言われてはいるが、そのことをわたしたちひとりひとりがどのように実感している(いない)のだろうか…。
 人間はまず、手でものを触り、識別する。手は、その物の形、熱いか冷たいか、硬いか柔らかいかなどを総合的に判断する繊細で柔軟な身体機能である。携帯電話やPDAといった情報ツールの出現によって、そうした手の役割がさらに拡大し、より繊細な指の動きと思考の一体化が始まりつつある。出題では、これらコミュニケーション・ツールへの洞察と、手の触覚や指の感覚を使った意思伝達の表現をねらいとしている。

デザイン
 今回の問題は、人間の認知の基礎かつ本質となる視聴覚情報について、客観的に思考しながら、いかに美的でインパクトのある視覚表現を生み出す力があるかをみることをねらいとしている。個人の体験の記憶をさぐりながら、眼、耳、鼻、舌、皮膚などの器官を通じて、感覚、知覚、認知を経て情報処理される過程を整理し、フォルムや色彩の可能性を探索しながら表現することが求められる。情報芸術と情報デザインが共通して求めるキーワードは表現、思考、過程であり、それらが一体となった創造的な作品が望ましい。その上で、情報芸術コースは独創力、情報デザインコースは構成力に重点をおいた作品評価を行っている。アドバイスとしては、まず時間内で作品を仕上げることを目標とし、そのために日頃から自分の体を通じて、さまざまな体験やできごとのプロセスを絵や図、文章などで表しながら、思考から表現までが一体となった制作をすすめるようにして欲しい。

実技問題採点のポイント

鉛筆デッサン
・課題の内容を理解しているか。
・コミュニケーション・ツールを使った手を表現しているか。
・要素の位置関係や遠近感といった空間表現力があるか。
・手のかたちや立体感、質感が適切に描けているか。
・感受性と想像力のあるバランスがとれた魅力的な構図になっているか。

デザイン
・問題を把握、理解し、自分なりに深く思考できているか。
・作品のアイデアを膨らませて、それを美的に表現しているか。
・ひとつひとつの過程における表現や思考と全体のバランスがとれているか。
・色彩とフォルムの表現が洗練され、感性豊かで個性的、独創的な作品となっているか。
・限られた時間内に作品を完成しているか。

平成16年度入学試験(大学入試センター試験利用入学試験)

 「デザイン」は一般入学試験と同一問題で共通です。一般入学試験に出願している者は得点が移行されます。

入学定員―40名(情報芸術コース20名、情報デザインコース20名)

大学入試センター試験科目
 外国語(100点満点に換算) 
  英、独、仏、中、韓のうち1科目選択
 国 語(100点)
  国 I 、国 I ・国 II のうち1科目選択(近代以降の文章)

選 択
 地理歴史(100点)
  世A、世B、日A、日B、地理A、地理B
 公 民(100点)
  現社、倫、政経
 数 学(100点)
  数 I 、数 I ・数A、数 II 、数 II ・数B、工、簿、情報
 理 科(100点)
  総理、物A、物B、化A、化B、生A、生B、地学A、地学B
※上記4教科25科目のうち1教科1科目選択(2教科2科目以上受験した場合は得点の高い1教科1科目を評価)

本学での個別学力検査
 2月11日(水)

  デザイン(100点)―10:00〜16:10
  (12:30〜13:40は昼休み時間)

大学入試センター試験利用入学試験のねらい・意図、採点のポイント

 本学のなかでも、もっとも早い時期からセンター試験を導入した情報デザイン学科では、従来の美術系志願者に期待される美的表現能力にとどまらず、広く理系・文系の優れた才能によって、新しい分野を複合的に切り拓いていくことができる人材を求めている。
 そこで、大学入試センター試験利用の科目は、情報デザインの学習において基礎となるコミュニケーション能力をみる外国語と国語を必須としながら、もう1科目の選択肢は特定の科目に限定せず、幅広く設定することとした。受験生各自が最も得意とする科目を生かすことで、情報デザイン領域に多面的な価値を与えることのできる人材の入学を期待している。

入試科目の変更点について

 平成15年度からのコース別入試の実施の意味をより明確にするために、平成17年度から実技試験科目のうち「デザイン」の名称と持参用具の変更を行うことにしました。新しい科目名称は「視覚表現」で、持参用具として「水彩用具一式(透明・不透明絵具共に可)」を加えます。センター利用入試の実技試験も同様です。(詳細は平成17年度学生募集要項を参照してください)

 情報デザイン学科が「デザイン」の科目で受験生に問うてきた、知覚や体験に根ざした表現、プロセス(過程)の重視、思考と感覚、感情の一体化といった基本的な内容は不変のまま、ファインアート系、デザイン系といった枠にとらわれない、より多様な表現方法による受験を可能にするのが、今回の変更のポイントです。特に映像、音響、インスタレーションといったメディアアート作品の制作を核とする「情報芸術コース」では、個性や感性豊かな描写力、表現力に優れたファインアート系学科志願者の挑戦を強く希望しています。