美術学部  芸術学科
入学定員 − 60名
入学試験問題・配点・日程

2月15日(月)
  外国語(100点)─11:50〜12:50
  小論文(150点)─14:00〜15:30

小論文(90分)

各自に新聞紙が配布されています。
この新聞によって考えたことを、1200字以内で自由に記しなさい。
as01.jpg (12413 バイト)

語学・小論文出題のねらい・意図、採点のポイント

  本学科は、多様な芸術ジャンルに対し、開かれた視野を持ち、確実な事実認識と独創的な発想が両立しうる人材を求めています。そのため外国語の基礎能力と論理的な思考力とを同時に併せ持つことが入学試験に合格するための条件となります。「外国語」「小論文」が出題科目となっているゆえんです。
 「小論文」においては、論旨の明確さ、文章表現力、発想の独創性などが採点の重要なポイントです。課題としては、たとえば文章や図版などが提示されます。ここで問われるのは、知識というよりはむしろ、対象と向き合ったときの観察力、読解力、想像力、思考力なのです。うわべの知識を書き連ねたり、無関係な感想を述べたり、入試対策用に訓練された文章であったり、言葉遣いや漢字がでたらめであったりしては評価されません。自分の目で見、自分の心で感じ、自分の頭で考え、自分なりの文章で書く。それが肝心です。

小論文

  今、ここにある新聞冊子をちょうど真ん中のページで開き、一枚一枚冊子をはずしていき、それを手当たり次第にくしゃくしゃに丸めてみる。すると六つのボールが出き上がる。そしてそのボールの表面に現われているものを読んでいく。一つ目のボール「神奈川県??・好調・社会B版・わかげさん・大竹ひろあき」二つ目「ありがとう・大統領の不倫疑?・教育・介護・ボランティア」三つ目「スポーツ・コンサート・奇跡の???氷川丸」四つ目「くしゃくしゃになった井上ひさしさんの写真・木造アパー???火事」五つ目「松坂練習再?」六つ目「月曜エンターテイメント・NHK衛星放送・エバラすき焼きのたれ」。 
 くしゃくしゃに丸めてしまったので言うまでもなく、内容を読み取ることはできないのだが、こうしたことによって単なるマスメディアとしての新聞にはない魅力が生まれたのではないだろうか。それは、単語一つ、あるいは単語のかけらを見ると、人はその意味、それにまつわることに対して関心を抱くことである。私はこのことからさらに、隠すことがいかに人を魅了させるかについて問いを発したい。
 たとえば衣服は単なる衣類としてだけではなく、装いとしての価値があるが、女性のスカートは中身を見せるようにして見せないという誘惑性があるし、キャミソールも、ぎりぎりのところまで見せておいて乳首を見せないといったぎりぎりの境界線上のエロティシズムがある。
 人々はこのようにして隠されたものの中を見たいという願望をぎりぎりのところまで持ってきて、そして、そこで見せないというところにすごく魅了されるのである。
 あるテレビ番組の実験でこんなものがあった。それは箱の中にテレビカメラを入れて、ふたをして、そのふたには「のぞくな」という紙をはり、公園に置いておく。すると、そこを通る人の約八割がふたをあけて中をのぞくという結果が出たのである。これも同じように中をのぞきたいという願望の表れである。 
 なぜ、新聞紙をくしゃくしゃに丸めたことで魅力が出たかということは分かっていただいたと思う。つまり、くしゃくしゃに丸めたことで単語や単語のかけらが見えて中身が隠されたことによってよりいっそう中身を開いて内容を読みたくなるのではなかろうか。
 最近は、子供の読書離れがよく問題にされることが多いが、見出し一つに工夫をこらしてみると読書や新聞ももっと読まれるものになるのではないだろうか。