美術学部  グラフィックデザイン学科
入学定員 − 185名
入学試験問題・配点・日程

2月7日(日)
  鉛筆デッサン(100点)─10:00〜16:00
        (12:30〜13:30は昼休み時間)
2月8日(月)
  色彩構成(100点)─10:00〜16:00
      (12:30〜13:30は昼休み時間)
2月10日(水)
  国 語(100点)─10:00〜11:30
  外国語(100点)─11:50〜12:50

実技問題

鉛筆デッサン(5時間)
 「両手」と「白い一枚の紙」との美しい関係を想定して描きなさい。
 ・「白い一枚の紙」の大きさ、形、加工は自由。 
 ・画面には「手と紙」以外は入れない。
 ・鏡は、補助用具であること。
 ・画面は縦位置であること。
 使用紙:クレセントボード310・B3
 ◎質問には一切お答えしません。
 ◎この問題用紙ならびに配布物等は、持ち帰らないでください。

色彩構成(5時間)
 大きな商業地区の広い通りに面したあるデパートが、改装のため外壁をフェンスで被い、そこに色彩構成による表現をすると仮定し、その時、その場に必要なデザインを考えなさい。
 条件
 ・ボードは横位置に使用し、その全面を通りに面した仮設フェンス全体とみなして色彩構成する。
 ・建物は8階建てだが、改装中も営業するため、フェンスは2階以上の部分に設置される。そのため作品は大通りの反対側の歩道から見られることを主眼にデザインする。
 ・そのデパートは『21世紀のデパート』をテーマにしている。そこで21の数字を構成要素のひとつとして効果的に使用する。数字のデザインは自由。
 ・上記の数字以外の要素は、直線、又は、円弧、又はその組み合わせで構成する。
 ・配色は自由。ただしすべての色面はムラのないベタ面とする。白く仕上げたい面はホワイトを塗り、未完成でないことを示す。
 ・改装期間は4月から7月まで。季節感からも健康的で明快な印象がほしい。
 ・このデザインの目的はデパートのイメージアップだが、街並み全体に与える効果と影響も大切である。
 ・無駄のない表現を心がけたい。
 使用紙:KMケントボード・B3

gd01.gif (1207 バイト)

 ◎図のように記名票が右肩にくるようにボードを使ってください。
 ◎質問には一切お答えしません。
 ◎この問題用紙と下描き用紙は持ち帰らないでください。

実技問題出題のねらい、意図

鉛筆デッサン
 出題のねらいは、デザイナーとしてヴィジュアルコミュニケーションするのに必要なデッサン力を求めています。それには、創作の原点ともなる日常の観察、そこから生まれる発見、考え、ひらめきなどが引き出せるよう想定デッサン問題にしてあります。過去に出題された「あやとりをする手」「ピンポン玉を2個持つ自画像」「美しいポーズの両手」「人体」「両手で鳥を持っているポーズ」「両手と白い一枚の紙との美しい関係」と解るよう特別なものではなく日常の生活の観察からうかがえる想定デッサンとして意図されています。

色彩構成
 グラフィックデザインを学ぶうえでの基本的な、発想・技・センスを見ます。さらに具体的にいえば、伝えたい意味内容を、必要最小限の色と形に美しく整理できるかどうかを見ます。
 過去の受験者の大半の作品では(合格者も含め)構成が未整理で、画面全体がムダな色と形に満ちています。これでは意味が伝わりませんし、センスも光りません。具体的な場面を単純化するのもひとつの方法ですが、単純なエレメントの組み合わせで意味を生み出すような学習も必要でしょう。色数も少ない方が、センスを感じます。昨年の「デパートの外壁」の出題に対して、21の数字を絵の中に隠してわかりにくくしたり、自由曲線で画かれた人物などの形を細かく直線で処理して「条件に合ってる」と考える人がたくさんいましたが、これらの人は出題者の求めているものを誤解しています。環境に対する配慮も全体不十分で、ゴチャゴチャしたイラストまがいの作品が多かったのは残念です。問題文の中に「明快な印象・無駄のない表現」と明記してあります。このことは昨年の問題に限ったことではないので、普段の学習でも大切な目標にしてください。レタリングの勉強も役に立つでしょう。

実技問題採点のポイント

鉛筆デッサン
・理解力=問題の把握・理解が正しいか。
・発想力=課題を造形化するアイディアが優れているか。
・描写力=構図、形、動き、光、量感など描写することに必要な技術が優れているか。
・個性=デッサンからうかがえる品格、感性に優れているか。

色彩構成
 具体的には次の5項目が採点のポイントになります。
・理解力=問題の把握・理解が正しいか。
・発想力=課題を造形化するアイディアが優れているか。
・構成力=アイディアを明快でムダのない平面表現にする造形が優れているか。
・完成度=手仕事としての仕上げが優れているか。
・個性=色感・品格・感性などに優れているか。
 これらを総合的に判断し、合否を判定します。構成力と個性のポイントのウエイトが高めになることは、作品の魅力度として当然なことです。

解説 
 例年本書に掲載してきた鉛筆デッサンと色彩構成の作例は、あくまでも実際に行われた入学試験の作品の中から、その一部を報告として選んだものであり、それらの造形処理を受験生に薦めるものでありませんので、この点に十分に注意してください。より自由で、個人としての意志を持った新鮮な作品を期待しています。

●鉛筆デッサン ・ 色彩構成
鉛筆デッサン
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色彩構成
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