TAMABI NEWS 77号(映像特集)|多摩美術大学
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■メーカー■メディア 新聞本紙とは分けて届けられる「別刷り」。全ページのエディトリアルとグラフィックを担当。東京パラリンピック1000日前となる2017年11月29日に発行。BOSSLATTEBASE(希釈用コーヒーシリーズ)本記事は、連載企画です。さらに詳しい内容や他企業情報はWebでご覧になれます。11今、報道におけるビジュアルの重要性は、非常に高まっています。デジタル技術の進展とともに、表現方法も多種多様となり、デザイナーのフィールドも広がっています。現在デザイン部には5名の多摩美卒業生が在籍していますが、それぞれ多才かつ多彩。新聞社のデザイナーの仕事とは、「伝える」ことにこだわり、デザイナー自らの発想で、既存の殻を打ち破っていくことだと思いますが、多摩美の卒業生は、自由な発想力を持っていてチャレンジすることに対して躊躇がない。このような突破力が、我々の強みになっています。これからも、変化の時代に、その力をますます発揮してもらいたいですね。紙面のエディトリアル、イラストやタイトルロゴの作成、デジタルサイトなど、デザイン部の仕事は多岐にわたります。何よりスピードが求められる仕事。記事は、地図やグラフ、チャートなどで構成されていますが、これらの制作を年間500本以上は手掛けています。タイポグラフィ、ブックデザインなど、在学中に培ったすべての技術が今に生きています。ですが報道デザインとは、それ以上に様々な表現が求められる仕事。「これでは表現しきれないが、どうしたら良いだろう?」と悩んだ時、実は、基礎力である教育課程での学びからヒントが引き出されることも多いんです。いろんな引き出しを出したり増やしたりしながらモノを作る今のスタイルが、自分に合っているのでしょう。また、いろんな部署の方と仕事をする上ではプレゼン力が必須ですが、視覚言語デザインの授業で「作る必然性を理論づけて考える」という観点を学んだこと、そして受け身ではなく自ら働きかける姿勢も、多摩美で得た大きな収穫です。後輩の方にもぜひ、1日1日を無駄にせず、自分が何を大事に制作しているのかを日々考えていてほしい。これが足りないと思ったら、多摩美にはそれを補うものがあります。少し勇気を出せば、手を伸ばせるはずです。大組織の中でプロジェクトを動かしていくには、高いコミュニケーション能力や革新性、そしてやり抜く力といった「人間力」が不可欠で、それは実際、アウトプットにも表れるものです。現在4名の多摩美卒業生が活躍していますが、共通しているのは、プレゼンの上手さと技術、そして思考力ですね。村井さんは視点の根拠がロジカルで、誰もがその提案理由や目的を共有することができる。思考のトレーニングがよくできていると感じます。社会ではこの「共有」ができないと意味がありません。これからのデザイナーにも、この思考力を期待しています。『BOSS』や『金麦』をはじめ、いろんなブランドを経験させてもらっています。チーム内で僕がデザイナーとして心掛けていることは、開発を俯瞰して見るということ。コンビニの棚を見た時に自分自身がお客さんとして何に惹かれるかを常に思い出しながら提案しています。高校時代に、ものをつくる立場の仕事をしたいと思い、一人で作品に向き合うより人と関わりながら仕上げていく制作スタイルに興味を持ったことから、多摩美のプロダクトを選択しました。ここで学んだことで特に今役立っていることがふたつあります。ひとつは、「自分がつくるものが、社会にどう影響を与えるか考える」ということ。表現より先に、何のために作るのか、それを伝えるためにどんなアイデアが必要かを考える習慣が身に付きました。ふたつ目は、デザイナー間だけでなく他の人にも共通言語として使える言葉でコンセプトを構築する、ということです。これらのトレーニングは今の仕事にそのまま生きています。美術やデザインを目指す人はどうしても、アウトプットされたものばかり見えがちです。でも、それより「何でこうなってるの?」といった物事の成り立ちを想像する視点を持てば、もっと見方や考え方が変わるでしょう。このような視点も、学生生活を通して鍛えられた大事な財産です。株式会社朝日新聞社=『朝日新聞(朝刊620万部、夕刊190万部)の発行と朝日新聞デジタルの配信を中心に、文化催事、高校野球をはじめとするスポーツ催事の主催・運営、その他各種コンテンツ配信などの事業を行う総合メディア企業。編集局デザイン部 部長※2018年3月取材当時山本 桐栄さん編集局デザイン部 デザイナー山本 美雪さん(2012年|グラフィックデザイン卒)サントリーコミュニケーションズ株式会社=サントリーグループにおけるより高い専門性とスピード化を目的に、2017年4月新設。酒類・食品・健康食品事業など、グループ全体のブランドコミュニケーション支援や、お客様リレーション機能を担う。デザイン部 チーフクリエイティブディレクター/デザイン部長水口 洋二さんデザイン部 デザイナー村井 源さん(2016年|プロダクトデザイン卒)多摩美出身者は、ビジネスの最前線からどのような評価を受けているのでしょうか。また、その卒業生たちが学んだ多摩美での4年間は、ビジネスの現場でどう生かされているのでしょうか。さまざまな業界で活躍する企業人たちに、多摩美に求められる期待と実績について尋ねました。自由な発想で躊躇なくチャレンジする力をますます発揮してほしいデザインに不可欠である人間力と、培われた思考のトレーニングが生きている朝日新聞社サントリー

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