TAMABI NEWS 83号(若手作家にチャンスな時代特集)| 多摩美術大学
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企業や団体が社会貢献活動の一環として、これから世に出ようとしている作家やクリエイターに助成金や奨学金を給付したり、海外留学をバックアップするなどの支援を行っている例は国内外に多数あります。こうした取り組みを行っている財団と、実際に支援を受けて活発な作家活動につなげている学生を取材しました。現在、油画大学院1年に在学中で、すでに多数の受賞経験を持つ、しろこまたおさん。上月財団やクマ財団からの奨学金を受け、作家活動を行なっているという。「版画用紙の購入や、機材の整備など制作環境の充実に役立てています。奨学金の活用は、制作の質の向上につながると思います」 右の作品は、しろこまさんが上月財団の「第16回クリエイター育成事業」選考時に提出したもの。左=「kuso mushi dedessin」右=「yuki no hi-2」Higashio Kimihiko 一般財団法人 上月財団の専務理事であり、コナミホールディングス株式会社 代表取締役副社長を務める。 文化の振興と発展、人材育成を目的に社会貢献活動として、作家を目指す人たちに助成金や奨学金を給付するなどして活動を支援している財団があります。その一例として、コナミホールディングス株式会社の株式の配当金によって運営されている上月財団(理事長=上月景正)が行なっている取り組みについて、専務理事の東尾公彦さんにお話をうかがいました。 「2004年に支援事業をスタートさせた当初は『漫画家育成事業』という名称だったのですが、名称を『クリエイター育成事業』に変更しました。現在は、デジタルアーティスト、イラストレーター、漫画家、画家などを目指す未来のクリエイターたちに門戸を開き、支援させていただいています」 例年200名を超える応募がある中、二次選考を通過した約30名に月額5万円の助成金を1年間にわたって給付するという。また、二次選考では一次通過者が会場で一同に会し、当日発表されたテーマに沿って、その場で作品を制作する実技審査と面接に臨む。この面接もクリエイターを目指す人にとって貴重な体験になるはずと言う。 「助成対象に選出されなくても、面接を通して著名な先生方から作品に対するアドバイスや、参考になるお話を聞くことができます。多面的で多様な意見を聞けるのは非常に良い機会になっているのではないかと思います」  できるだけ多くの人にチャンスをあげたい。そのためにも、より多くの人からの応募を求めていると東尾専務理事は言う。 「今、私どもの支援事業を認知していただいている学校だけではなく、もっと多くの方々に応募いただきたいと考えています。せっかく才能がありながら経済的な理由などで活動が行き詰まったり、埋もれてしまっている人材がたくさんいると思うんですよ。そういう才能に光を当てて支援することに育成事業の意義がある。ですから、多摩美の学生さんにもどんどんご応募いただきたいですね。チャンスはいっぱいあるのだから自らつかみにいっていただきたい。私たちが応援します」一般財団法人 上月財団熱い思いを持つ未来のクリエイターに年額60万円の助成金を給付東尾公彦 専務理事(コナミホールディングス 副社長)毎年約30名の若きクリエイターたちに門戸を開いている自らチャンスをつかみにいく 行動力ある人材を支援します上月財団とクマ財団の奨学生になり制作環境が充実実際に奨学金を受けて作家活動を行っ行行ている学生もっ多くの企業や団体が取り組んでいる

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