TAMABI NEWS 86号(2020年度受賞ラッシュ特集)|多摩美術大学
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PROFILE1989年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、DRAWING AND MANUALに参加。映像のみならずインスタレーションやプロジェクションマッピングといったさまざまなクリエイションに関わる。星野源、Mr.Children、米津玄師、BUMP OF CHICKENなど多数のアーティストのMVを監督。2016年「ベネチア・ビエンナーレ」特別賞、「ADFEST2019」ブロンズ、SSMA 2020 BEST VIDEO DIRECTOR受賞など受賞歴多数。GU×MIHARAYASUHIROの撮影は八王子キャンパス図書館で昨年末の冬季休業期間中に行われた。1階のアーケードギャラリーから2階の開架エリアまでをフルに使い、スチールとムービーで1日がかりの大規模なロケとなった。「GU×MIHARAYASUHIRO」のスペシャルムービーはこちらからご覧いただけます ▶(13年情報デザイン卒業)2月10日、三原さんのショールームにて取材「美大生」をモチーフに作られたコレクションであることから、2人の母校・多摩美の図書館が舞台に選ばれた。―― 出来上がった映像を見ていかがでしたか?三原 もうね、奇跡。ロングバージョンの方は特に。林 ははははは(笑)三原 階段で男の子と女の子がすれ違うシーンが、まるでほんとに同じ時間に撮った感じになってるの。林くんがストップウォッチで計りながら人を動かしていったんじゃないかって思うぐらいぴったり。でもそうじゃなくて、歩くスピードも席を立つするという実験があって。それが本当に素晴らしかったんですよ。まるっきりズレるところもあるんだけど、バチッと合うところもある。コラボレーションっていうのはそういう「化学反応」があって、どうなるかわからないってところが楽しいし、それがいちばんの醍醐味だと思って、あえて伝えなかったんです。現場での化学反応から「奇跡」が生まれたシーンも全部モデル任せで、急かすわけでもなく、ずーっと一連の動きがあってそこに来る。それはね、ちょっと鳥肌ものだった。林 あれは本当にたまたまです。でもやっぱり現場のいちばん面白いところってそういうところだなあっていうのはありますよね。たとえば僕があれこれ計算して「あなたは15秒で歩いてください」とか指示をしたら、モデルさんが自然体じゃなくなっちゃう。ラフにそれぞれの感覚でやってもらって、うまくいったなって感じです。三原 大げさかもしれないけど、よくあんなムードで撮れたなと思う。まず知的。やっぱり林くんは知性があるんだなと思った。林 ははは。いやいやいやいや、多摩美は補欠合格でしたよ(笑)三原 ものすごく勉強家ですよ。モデルの動きも林くんの中ではたぶん最初からイメージがあった。「GU×MIHARAYASUHIRO」を見せるっていうのが最優先でも、空間が意識できる映像で、多摩美の図書館を舞台にしている意味をちゃんとわかって作ってくれていた。すごく作り込まれた感じがあって、強くて上品な映像になっていた。林 良かった、そう言ってもらえて。―― 途中で三原さんも登場されていましたね。三原 「ここに座って」って言われて。どのぐらいのタイミングでカメラが来るのかわからないから、「まだ来ない? まだ? やっと来た!」っていう感じでそわそわしてた(笑)林 スタッフみんなでその場で話し合いをして、三原さんの時間をちゃんと作ろうって。三原 思いつきなんです。それもある意味「化学反応」ですね。―― 多摩美の学生有志もエキストラとして参加していて、撮影前には三原さんが学生たちに熱いメッセージを送ってくれました。三原 (笑)。あの時はちょっと感情的になっていた部分がありました。林 確かにとても熱がこもっていましたよね。あの映像作家13TAMABINEWS林 響太朗はやし きょうたろう

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