多摩美大入試ガイド 2019
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美術学部 絵画学科 油画専攻 デッサン・油彩油画030《教員コメント》デッサンは木炭をあまりこすらずカサカサした使い方だが、人物の表情、質感、量感などを的確に捉えている。細部まで意識の行き届いた良いデッサンである。油彩はイメージに依らず、ハガキそのものをモチーフとした。画面全体をハガキ面とし、しわくちゃにすることで空間に変化を与えている。皺や書かれた文字、所々に効かせた色彩によるリズムが心地よく、文字が皺によって断裂されることで平面性と空間性が同居するユニークな絵画性を獲得している。 《教員コメント》デッサンは、Tシャツの白さや肌の滑らかな質感などがとても自然に表現できており、目の前にある事象に真摯に向き合おうとする姿勢が秀逸である。油彩では、ハガキの印字や紙の折り目などを細やかに描写することにより、ハガキ飛行機が宇宙のかなたに飛翔するという発想が、陳腐なイラストレーションに陥ることなく、画面に雄大な情感をもたらすことに成功している。このハガキ飛行機たちが向かう世界はどのような場所なのだろうか。観る者のイマジネーションをかき立てる作品となっている。 (文責=菊地武彦教授)(文責=吉澤美香教授)

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