多摩美大入試ガイド 2019
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074掲載作品は合格者より選定2. タイトル票には、なぜこの作品を探査機に搭載する必要があると考3. 記名票は右上になるように使用すること。4. タイトル票は左上になるように使用すること。【注意】1. A3の紙2枚は下書き用紙です。2. イラストボードの切れ端は試し塗り用紙となります。3. 出題の内容に関する質問にはお答えできません。【使用紙】TMKケントポスターボード(両面張り540mm×540mm)鉛筆デッサン(3時間)【問題】相手(他者)を理解したりコミュニケーションすることができない状態を、粘土を使って造形的に表現し、それを鉛筆で描きなさい。【条件】1. 配布された粘土を自由に変形し、鉛筆デッサンのモチーフとして使用2. モチーフとしての粘土以外のものを描いてはならない。3. 用紙は横位置とし、記名票が右上になるように使用すること。【注意】1. A4の紙2枚は下書き用紙です。2. モチーフは持ち帰ることができます。3. 出題の内容に関する質問にはお答えできません。【使用紙】BBケントボード特注(荒目/B3)●専門試験視覚表現(5時間)【問題】地球に非常に似ているとされる惑星プロキシマbに、生命や知性が存在するかどうかを調べるため、NASA(アメリカ航空宇宙局)は地球から4.4光年離れたアルファ・ケンタウリ星系に、無人の探査機を送り込む計画を検討しはじめた。こうした地球外知的生命体の探査機に美術作品(視覚表現作品)を搭載するとすれば、それがどのようなものであるべきかを、作品を鑑賞する相手の特徴を想像しながら思索検討し、与えられた用紙の上に表現せよ。なお、光速の10%で飛行可能な探査機でも、アルファ・ケンタウリ星系に到達するためには、少なくとも44年を必要とする。【条件】1. 探査機に搭載する視覚表現作品のみを描くこと。探査機自体や打ち上げロケットなどの装置や付属物を描いてはいけない。えたのかがわかる、簡潔な理由を記述すること。すること。鉛筆デッサン・見る力 = 対象の形を正確に捉え認識できるか・技術力 = 基本的な表現技術があるか・構成力 = 表現内容を組み立て配置ができるか・表現力 = 表現したい心があり、形にできるか・完成度 = 課題が作品として完成しているか鉛筆デッサンSNSの普及により、さまざまな主義主張の人が同じデータにアクセスできるようになったが、そのおかげで人々のコミュニケーション能力は低下し、世界は分断と不寛容の時代に突入した。さらに自分と異なる考えの人に対する想像力が欠如し、他者と時間をかけてゆっくりと議論し、違いを埋めていく作業が著しく苦手な人が増えつつある。今回の出題は、ポーランドのSF作家であるスタニスラフ・レムが再三描いてきた(そして前日の視覚表現の一つの解答としての)「コミュニケ ーションの不可能性」という今日の普遍的状況を、言葉ではなく(粘土による)造形によって表現し、それを鉛筆デッサンによって描画することを問うものである。モチーフを造形する際には、各自の鉛筆デッサンの技術力に応じて、その難易度をコントロールできることも、この問題のポイントである。なぜなら、メディアの自己言及性は、モダニズム以降のポストメディウム時代のメディアの一番の特徴であり、そのことを暗黙のうちに普及させたのがデジタルメディアだったからである。人工生命(コンピュータの生物化)が合成生物学(生物のコンピュータ化)へと反転したように、そこにはデジタルメディアから物質への(自己言及性の)反転的転写があることも忘れてはならない。●採点基準視覚表現・理解力 = 出題内容を正確に読み取れるか・発想力 = 自分自身のテーマを展開できるか・構想力 = 構想を具体的に組み立てられるか・表現力 = 表現したいことを形にできるか・完成度 = 表現が作品として完成しているか●出題のねらい・採点ポイント視覚表現今年度の視覚表現のテーマは、芸術における人間存在の意味を問うものであった。爾来、芸術にとって「人間」という存在は暗黙の前提であった。しかしながら、今日の人工知能、ポストヒューマン、地球外生命探査といった技術の進歩による人間や社会のアップデートによって、人間を前提としない、あるいは人間のためのものではない芸術の可能性と必要性が現実のものとなってきた。今回の問題は、そうしたこれからの(問題の中に示唆されているように、これから4〜50年先の未来に起こるであろう)芸術の課題に対する、受験生の心構えを問うものである。それと同時に、どうやって考えていいのか皆目わからない状態に陥った時でも、立ち止まることなく、あるいは足がすくむ事なく、何かを考え、何とかそれを描くことで突破口を見出していくサバイバル力が、これからの世界を生き抜いていくためには必要不可欠である。それが今回の出題で一番重要な意図であり、評価ポイントでもある。美術学部情報デザイン学科メディア芸術コース

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