授業NO.005
授 業:「デジカメアニメに挑戦!!」
対 象:八王子市立柏木小学校 6年生(2クラス)36名、35名

日 時:2005年7月5日・11日
アニメーションの基本である仮現運動を利用して、日常の活動を楽しく記録する方法を体験。自分の体を使って、動きや移動をコマ撮りすることで、動きのあつ記録表現を体験する。
講 師:原田 泰(デザイナー/
本学情報デザイン学科助教授/筑波大学芸術専門学郡視覚伝達デザイン卒業)
7月5日 
6年1組8:40〜10:15  6年2組10:35〜12:10
第1回目授業 「自己紹介、アニメーションについて」
 この日は、全2回授業があるうちの、第1回目です。柏木小学校の6年生が卒業時に制作する、クレイアニメーションの準備授業として、アニメーションの原理を学びます。
出前アート大学からの挨拶の後、講師の原田先生をご紹介して、授業がスタートしました。まずは、スクリーンで映像を見ながら、アニメーションの歴史や手法を分かりやすく説明を受けました。

「制作説明」
今回私たちは何を使ってアニメーション作りにチャレンジするのか?
 現代には便利なデジタルカメラがあるので、それを使ってコマ撮りアニメーションを制作することになりました。初めてデジカメを使う児童もいたので、まわりのスタッフが使い方を指導します。

6年1組 9:15〜10:10  6年2組 11:40〜12:05
「撮影開始」
 クラスで5,6人のグループに分かれました。グループごとに作品を作り、全員が写真に写ることが条件です。学生スタッフや校友会理事も加わり、カメラの使い方、アニメーションのストーリーについてアドバイスをしながら進行していきます。

「撮影」
一コマ、一コマじっと動かずに撮影をしていきます。
こんな風に撮影をすることで、アニメーションになるのか、
みんな最初は不安そうでした。

「撮影」
時間が経つにつれ、色々なアイデアが飛び出しました。
こちらはサッカーボールの上に立つ小人、という設定で撮影中です。
 デジカメで撮った写真は、すぐにその場で見る事ができます。前後の画像を繰り返すことで、アニメーションの効果が出ているか確認をしました。

「記録」
 今回撮影をした写真は、編集作業の為に、タイトル、ストーリ−と写真の並び方なども分かるように、記録用紙にメモを残しておきます。
第1回目の授業はこれでおしまいです。

 


7月8日
「編集」
 次
の作品発表の為に、原田先生と学生スタッフによって編集作業が行なわれました。児童の考えた物語や写真をなるべくそのままの状態で、効果的に見えるように、音入れなども行ないながら編集し、一本のムービーにまとめました。
7月11日 6年1組13:40〜 6年2組14:30〜
「デジカメアニメに挑戦!!上映会」
いよいよ、作品の発表です。
原田先生と学生スタッフは盛装して、上映会のムードを盛り上げました。


「上映会」
 先週、撮影をした写真が、1つのアニメーションになりました。1班からの
上映順で、各グループの担当になった学生スタッフが、参加した児童を紹介し、
作品のコンセプトの説明のあと、上映が始まりました。


「上映会」
 自
分たちの作った作品が上映されるのはドキドキしますが、ちゃんとアニメーションとして仕上がっていることに、みんな満足した様子でした。アニメーションの意外な動きや効果、友達の面白い表情などに、驚きと歓声が上がっていました。
6年1組14:15〜14:25 6年2組15:05〜15:15
「記念撮影」
 上映会終了後、原田先生より授業のまとめのご挨拶、出前アート大学から終わりの言葉を述べました。
最後に原田先生を囲んで記念撮影をしました。

 後日、原田先生より、児童ひとりひとりに上映会のDVDがプレゼントされました。今回の授業を通して、もの作りには様々な役割の仕事があるということを教えていただきました。監督、カメラマン、俳優、等々、それらの力が合わさって作品が生まれます。みんなは、どんなことにチャレンジしてみたくなったのでしょうか。

 

出前アート大学授業No.005 「デジカメアニメに挑戦!!」
講師 原田 泰(デザイナー/本学情報デザイン学科助教授/筑波大学芸術専門学郡視覚伝達デザイン卒業)

「みんなで作り上げる楽しさと可能性」

 デジタルカメラという手軽な道具を使って動きを持ったメッセージをア ニメーションで表現してみよう、というのが今回のテーマです。アニ メーション自体はこどもたちにとって大変身近な表現ですが、制作の舞 台裏では緻密な計算と地道な作業が要求される高度な表現手法です。ま た動きを表現するには演技やタイミングがとても重要で、日常の観察な しにこれらを表現することは出来ません。自分の体を使って表現を考 え、それを計画的にチームワークで形にしていく、そんなワークショッ プをめざしました。たとえこどもでも本物を知るべき、という思いがあります。「ただ絵が 動いて満足」ではもったいないと思いました。 したがって企画 側としては、動く絵が出来あがっていくという「技」だけではなく、体 験の中に表現「知」をどのように埋め込むかを工夫したつもりです。オリエンテーションではアニメーションの歴史や技法に触れ、アニメー ションや映像表現の入り口を紹介しました。またIT技術を利用し た表現活動の可能性を感じてもらうためにあえて制作対象を「驚き板」 や「パラパラマンガ」に振らず、デジタルカメラでの表現にチャレンジ してもらいました。その日の出来事をその場でスライドショーで振り返 れたことも、IT技術の可能性として彼らへの刺激になっていれば。参加してくれた多摩美術大学情報デザインの学生たちが撮影の場におい てファシリテーターとして効果的に動いてくれたことで、こどもたちは それぞれが撮影や監督、役者などの役割を意識して、楽しく参加できて いたように思います。
時間配分の都合で、こどもたちには表現の設計と撮影に専念してもら い、編集は学生たちにお願いしました。 彼らが編集や音入れを がんばってくれたことで、大人の鑑賞にも堪えうる魅力的な作品が数多 く出来上がりました。大学生たちにとっても映像表現における編集の重 要性に気づく学びの体験になったはずです。今回参加した子供たちの中から将来映画監督や俳優が誕生したら、と考 えるだけでワクワクします。