授業No.016
授 業:「コラボレーションしよう 1+1=1」
対 象:北海道上士幌町立上士幌小学校 4年生27名
日 時:2007年9月3日
二人一組になって、お互いの顔を描き、その絵を交換しながら1枚のコラボレーション(共同)作品をつくります。コラージュをしたキャンバスの上に絵を描くという、仲田先生の制作方法を体験をすると、どんな楽しい作品が生まれるのでしょうか?
講 師:仲田 智(美術家/1987年本学大学院油画専攻修了)

2007.09.3 mon. 8:40〜10:05
「制作の説明」「コラージュによるキャンバス作り」

二人一組に分かれるために、くじを引いて、ペアを決定しました。その後、コラージュをしてキャンバスを作ります。いつも先生が使用している数字や地図やローマ字などが印字されたカラフルなコピー用紙を準備して、その中から自分の気に入った紙を数枚選び、ちぎったり、切ったりしながら、糊でボール紙に貼付けていきます。コラージュが完成したら、キャンバスに画材をのりやすくするため、下地剤を塗ります。



10:05〜10:40
「仲田先生の紹介」

コラージュのキャンバスを乾燥させている間に、先生の紹介をします。普段、どんな場所でどんな風に作品を制作しているのでしょうか?美術家として生きる先生の日常を、美しい写真と一緒に見せてくれました。手作りの真っ白なアトリエに掛かった、カラフルな作品が印象に残ります。みんなはどんな感想を持ったのでしょうか。 

10:40〜12:15 「ドローイング」

机に置かれた沢山の画材(パステル、クレヨン、アクリル絵の具、マジックなど)から、使ってみたいものを選びます。ペアになった相手の顔を描き、5分経ったら先生の合図で絵を交換します。相手が描いた自分の顔の続きに、相手の顔を描き、これを数回繰り返します。表現の仕方は自由で、二人で息を合わせながら作品を完成させます。キャンバスのコラージュに負けないくらい元気があって、二人の個性が混ざった面白い作品になりました。



13:30〜14:15
「鑑賞会」

お昼の後、図工室にクラス全員の作品を並べて鑑賞会をします。自分の作品について一人ずつ感想を言いました。みんな緊張していたようでしたが、先生はそれぞれの作品の良いところを、丁寧に教えてくれました。

 



■おわりに

この授業には続きがあって、最後にみんなの作品を小さな作品集にまとめます。全作品を撮影して、仲田先生がアトリエに持ち帰り、編集をします。授業では友達と、その後は児童と仲田先生とのコラボレーション作品となります。ひと月後、小さな作品集がみんなの元へ届けられました。


「授業を終えて」
講師 仲田 智 (美術家/1987年本学大学院油画専攻修了) 

大人になると、いろいろな決まり事やルールに縛られて自由に絵を描けなくなる事もある。児童たちも「うまく描かなきゃいけない」とか、自覚がなくてもきっと何かに縛られていると思う。だから、本当に自由に絵を描くという事はすごく難しいことなのかもしれない。
 今回のコラボレーションでは、二人一組になって一枚の絵を交互に描くこととしました。また、描く時間を5分2セットなどと限定することで、思い通りにならない部分をさらにプラスしました。それは、より直感的、本能的につくってほしかったのです。そして、児童たちに絵を描く楽しさや難しさを、おもいっきり体感してもらえたのなら、私が授業を出前してよかったと思うことができます。
 でも自由ってなんだろう?ホントに自由って存在するのだろうか。私の心にまとわりついてしまったよけいなものを振り払い、作意とか意味とかそんなものから突き抜けたところへ行ってしまいたい、そんな気持ちにさせられた一日でした。