授業NO.017
授 業:「体にも気持ちがあるのだ!」
対 象:埼玉県寄居町立鉢形小学校 1年生26名
日 時:2007年10月19日
「体にも気持ちがあるのだ!」と題して授業を行ないました。身近なものに目をつぶって触ったり、人に触れられたりするときに感じる自分の気持ちに耳を澄ましてみます。とても元気な1年生。松本先生との授業に、どんな気持ちの出会いが待っているでしょうか?
講 師:松本大樹
(コンテンポラリーダンサー・振付家/1994年本学二部芸術卒業)

2007.10.19. Fri.
13:50〜14:45「体育館ツアー」

松本先生にとって初めて訪れた体育館。体育館のことを教えてほしいとツアーをします。まずは体育倉庫に行き、体育用具を一つ選んだら、目をつぶってさわります。手のひらで感触を体験すると…やわらかい感じ!かるい感じ!つめたい感じ!目を開けると色々な感想が飛び交います。
次はのぼり棒に行き、目をつぶって上り下りします。次に手をかけるところ、足をかけるところを、手や足の感触に頼りながら、上り下りします。いつもとは違う遊び方に、一歩ずつゆっくりと挑戦です。 



14:45〜15:00「パンチする時の気持ち」

空に向かってパンチをします。パンチをする気持ちはそのままに、100%、50%、0%の力と割合を変えながらパンチしていきます。
次は一列に並びます。パンチしようとしている手に、先生の手がやさしく包み込みます。パンチをする「体」でない手で触られた時、自分の体に何か起こりましたか?最初は照れていた児童たちですが、先生にやさしく手を包み込まれると、柔らかい表情に変化していきました。 



15:00〜15:25「体当たりする感触」

先生が持っている新聞紙を通過し、体から落とさないようマットを目掛けて飛び込みます。新聞紙で顔が隠されても、気にせず走ります。後ろ向きで走ったり、新聞紙を破りながら走ったりする児童もいて、興奮の声が体育館に響き渡ります。




■おわりに

授業のお礼にと、児童たちがマテバシイの実で作った笛をプレゼントしてくれました。出前アート大学からは、先生がダンスしている姿の缶バッチをプレゼント。松本先生が、一人一人の名前を言いながら渡していくと、目をつぶりながらもらう児童もいて、先生も驚いていました。

 


授業終了後、小学校の先生方へレクチャーがありました。体の仕組みを感じながらストレッチやアクロバティックな動きをしたり、児童と一緒に体を動かす方法を聞いたりと、熱心に参加していました。

「Workshopを終えて」
講師 松本大樹 (コンテンポラリーダンサー・振付家/1994年本学二部芸術卒業) 

 

空に向かって突き上げる時につくる固いこぶしを、別の誰かの優しい掌で包み込まれたら強く握ったそのこぶし自体がどう感じるかを知りたくて、子どもたちのつくったちっちゃなかたいこぶしを、一人一人僕が両方の掌で包んでいたときのことです。一人の男の子が目を開けて、『…なんか通った。』と言いました。(何が通ったんだろう?)聞きたい気持ちを抑えそのまま彼のこぶしをもう少し包んだ後、「何が通ったの?」と聞くと『…なんか通った』と繰り返し言ってくれました。もう一人、別の女の子のところでつつんでいた時、『わかった!』と言った。(何がわかったんだろう?)と聞くのだけれど『わかった』というばかり。誰かの体やお顔が、堅くなっていたらそれとは全くべつの優しい掌や体で包んだら、その誰かの体がやんわり緩んで楽になるんじゃないかな、それをまるで遊びのように瞬時に反応して子どもたち同士のなかでやれたらいいな、とそんな事を、思い描きながらやってみました。ワークショップの最後に、修了証として生徒全員に缶バッチをあげるんですけど、目をつむって手を差し出してきてもらう子がいたのにビックリ、しかも何人も。授業半ばで目をつむって感触を頼りにのぼり棒をのぼり降りした事なんかをきっと覚えていてくれたのでしょう。講師の僕の方が、愉しんで一緒に遊びすぎてしまっていたというのに、彼等の方が授業の主旨をよく理解して消化して参加してくれていたのには参りました。遊びながら、生き方を学びとっていく天才たちならではの吸収と学習の能力の高さに脱帽!した、ワークショップでした。