授業NO.018・019
授 業:「ガラスがぷぅーっ」
対 象:奈良県御所市立秋津小学校6年生(23名)・葛城小学校6年生(21名)
日 時:2008年11月19日・20日
ガラス工芸発祥の地で、吹きガラスの授業を行ないます。身近に存在しているガラスという素材は、どんな特質があるのでしょうか?おもいっきり息を吹き込んで、大きなガラス玉を作ります。各小学校の体育館脇に設置された小さな工房で、本格的な制作を体験します!
講 師:伊藤 孚(ガラス作家/1964年本学日本画卒業・本学工芸学科教授)

2008.11.19 mon. 8:55〜9:40 at 秋津小学校
「ガラスのレクチャー」

“ガラスはどこから来たの?”というフランスの絵本を使って分かりやすく説明を受けました。ガラスの素材、性質、私たちの暮らしにどんな風に使われているか、歴史も辿りながら、分かりやすくお話をしてくれました。

09:40〜11:45
「吹きガラスの制作」

ひとりずつに小さなガラスの玉が用意されました。自分の作品と分かるように、あらかじめ、準備しておいた型紙にカラフルなガラスパウダーを落とし、吹く前の熱くなったガラスの玉に印字します。その後、吹き竿に繋がれたチューブから、息を思いっきり吹き込みます。顔を真っ赤にさせながら、大きく大きく、ガラスの玉を膨らませます。もうこれ以上吹けない!というところまで頑張って、だいたい直径30〜40cmくらいの作品が完成しました。みんなの作品は体育館の脇に並べられていきました。






11:45〜12:25
「ガラスの感触・線・小さな器」(デモンストレーション)

ガラスの感触を体感するため、竿に残ったガラスの固まりを、トングを使ってつまんでみました。その後、レクチャーで紹介されたファイバーグラスを基に、熱いガラスがどこまで伸びるかの実演です。竿についたガラスをトングでつまみ、竿を持って離れていくと、ガラスが糸状に50mくらい伸びていきました。ガラスの玉から小さな器を作る実演も披露してくれました。





13:20〜15:25
「吹きガラスの制作」「昔の板ガラス」(デモンストレーション)

お昼のあと、残りの児童も吹きガラスを制作しました。終わった児童は軍手をはめて、ガラスの玉を持って記念撮影をしました。全員の撮影が終わると、再びデモンストレーションです。昔の板ガラスはどんな風に作られていたのでしょう。見る見るうちに、丸いガラスが板状に変身していったので、みんなで拍手をして驚きました。伊藤先生からのまとめのお話をしてもらい、秋津小学校での授業が終了しました。



2008.11.20 tue. 8:50〜10:00 at 葛城小学校
「ガラスのレクチャー」

前日に引き続き、絵本を使ってガラスのお話からスタートです。ガラスで作られた美しい作品を沢山紹介してくれました。



10:00〜11:55
「吹きガラスの制作」

この日は気温が低く、ガラスが十分に熱せられずに、ガラスがなかなか膨らんでくれない場面もありましたが、それでも力一杯息を吹き込んで、作品を完成させました。みんなが吹き上げた色んな大きさのガラスの玉が、体育館脇に美しく並べられていきました。





11:55〜12:10
「ガラスの線」(デモンストレーション)

熱いガラスがどこまで伸びるかの実演です。体育館の端から端まで伸びた糸状のガラスを、特別に触らせてもらいました。


13:30〜14:30
「吹きガラスの制作」「昔の板ガラス」(デモンストレーション)

全員の児童が吹きガラスを終えて、最後に昔の板ガラスを作るデモンストレーションがありました。熱いガラスを竿で自在に操る先生が、あっと言う間にきれいな板ガラスに仕上げてくれました。


■おわりに

2校で授業を開催したのは初めての経験でした。本来であれば、ガラス工房で行う授業ですが、今回は移動式の工房を設置して行ないました。それだけ先生方の労力は大変なもので、また現地の方々の協力なしには実現できませんでした。何より児童のキラキラした笑顔と歓声が響きわたり、楽しさとともに、ガラスの新鮮な魅力が伝わる授業であったのではないでしょうか。



授業を終えて
講師 伊藤 孚 (ガラス作家/1964年本学日本画卒業・本学工芸学科教授)

 

終わって不可能と思われた事が、多くの人達の力を借りて実現できた事は喜ばしい事であった。本来のガラス制作体験にはほど遠いものではあったが、子供達にガラスという不思議な材料を少しでも体感してもらえたら、との思いは伝わったのではなかろうか。
 二つの小学校では多少の違いが見られた。一つは担当の先生と子供達の距離が非常に近く、とても良くまとまっており、私自身も楽しく授業が出来たように思う。これは私の多摩美大での授業にも言える事であり、自分自身を振り返る良い材料になった、感謝。もう一つの学校の子供達はとても元気で自分の子供の頃を思い出させてくれた。 
 将来、少数で良いからこの子供達がモノ作りという大切な分野へ入って来てくれる事を望んでいる。終了後に子供達から送られて来た感想文は読み応えがあり、ただ「ありがとう」としか言いようが無い。
 ここの所、このような年齢の子供達にふれあう事が無いために、不安もあったが喜びでもあった。