授業No.035
授 業:「芸術の秋 アートの種み〜つけた!ーおおきなキャンバス、ちいさなキャンバス、わくわく芸術家体験」
対 象:福島県金山町立金山小学校 1〜6年生45名
日 時:10月12日(火)
今回で2回目となる東北地方での開催は、福島県の奥会津に位置する金山町立金山小学校で行ないました。対象は1〜6年生45名です。講師は現代美術作家の大谷有花氏(2003年院油画卒業)。日常生活の中から身の回りのこと、自分の中身のことを調査し、そこで見つけた”アートの種”がアートに変わっていく面白さを体験します。芸術家のように本格的な技法を体験したり、作家の考えや世界観に触れながら、感じたことを思いきって表現してみよう!
講 師:
大谷有花(現代美術家/2003年本学大学院油画専攻修了)

2010.10.12 tue. 08:35〜09:20
「LIFEの鑑賞とお話、道具と技法の説明」
今回の授業のために、東京から大谷先生の作品11点を小学校に持っていきました。そのうちの1点はF150号というサイズで、縦横2メートル以上ある巨大な作品です。大谷先生のテーマカラーであるキミドリ色がとても印象的で、迫力がありました。本物の作品を前に、児童はどんな感想をもったのでしょうか。


09:25〜10:10
「大作制作」
リラックスして作品作りができるように、まずはみんなで体を動かして、楽しみながら大きな作品を制作します。大谷先生は、普段どんな風に絵を描いているのかな?キャンバス、木炭、アクリル絵の具など、初めて触れる道具を紹介してもらい、技法を教わります。リレー形式で下描きをしたり、学年ごとに色を決めて着彩したり、ゲーム感覚で制作します。クレヨンで描き込みをしたら、みんなの身の回りの物や出来事を集めた、迫力のある大作が完成しました。

 




10:25〜12:00
「小品制作」
今度は、ひとり一人小さな作品作りに挑戦します。大作で教わった技法を使って、低学年は、クレヨンをメインに使い、アクリル絵の具で仕上げます。高学年は、アクリル絵の具をメインで使用して作品を仕上げます。テーマは、自分の中身のこと。大切にしていることや、気になることなどを作品に込めました。今回の作品作りをするために、事前にドローイング帳を児童を渡して、描きたいモチーフを選んできてもらったので、その中からヒントを得て、描きました。





 

13:30〜14:30
「講評・鑑賞会」
みんなで輪になって座り、講評と鑑賞会を行ないました。どんな作品を描いたのか、一人ずつ発表をします。作品を発表するのはドキドキしますが、自分の作品の良いところを大谷先生に沢山教えてもらうことができました。

 

 

 


■おわりに
今回制作した大作と小品は、小学校、金山町の東邦銀行、観光施設こぶし館に展示されました。友達や家族をはじめ、金山町に観光に訪れた人、金山町民の方々、多くの人に作品を発表できたことは、児童の自信に繋がったのではないでしょうか。アイデア出しから制作、展示まで一連の流れを体験したことで、将来、金山小学校から芸術家が誕生するかもしれません!

出前アート大学を終えて
講師 大谷有花 (現代美術家/2003年本学大学院油画専攻修了)


この授業で体験してほしかったことはふたつです。ひとつめは、アート作品を鑑賞する楽しさについて。その時代を生きた人がどのようなことを考えてその想いを表現してきたかを感じ、その作品の世界に入って楽しむ、鑑賞するおもしろさを小さな頃に体験してほしかったということです。もうひとつは、自分で選んできたそれぞれ違った題材を描き、最後まで表現することを通して、世界にひとつしかない作品を創造する楽しさ。自分の存在自体がひとつしかない大切なものであることを遊びを通して実感してほしかった。子どもたちが大人になったときに、自分で考え出すことや判断をすること、そしてそれをきちんと表現し、他人に伝えられるようになること。この授業がそのための小さな練習になったとしたら、今回、私が担当した出前アート大学は大成功だったといえると思います。