授業No.038
授 業:君が主役★★★劇団CUE」
対 象:
港区立麻布小学校5年1組30名
日 時:2011年2月月25日(金)
38回目の授業は港区立麻布小学校にて、5年1組30名の児童を対象に行いました。講師は、資生堂のアートディレクターであり、アーさんから親しみを込めて「CUE(きゅー)」と呼ばれる成田さん。今回の授業では、劇団CUEの団員となった児童ひとり1人が主役となり、自分らしい表現をおもいきり楽しみます。成田さんの世界感に触れながら、身体を使い、手を動かし、思ったこと、感じたことを自由に表現する授業です。
講 師:成田 久(資生堂アートディレクター・アーティスト)

2011.2.25 fri.10:50〜11:35
「講師作品紹介」
授業の始めに講師、スタッフの自己紹介を行いました。
まずは、講師の紹介映像「CUE(きゅー)」の上映です。生い立ちから現在のお仕事まで、カラフルな写真と音楽で構成された映像の迫力に、児童たちは釘づけです。

続いて、資生堂アートディレクターのお仕事が紹介されました。
講師が担当したシャンプーとコンディショナーや、テレビのCMは児童も一度は目にしたことのあるものばかりで、歓声が上がります。パッケージやポスターのデザイン、CMのキャスティングから制作まで、商品をステキと感じ、愛されるように、商品に関わるすべてをデザインするのが、アートディレクターのお仕事だそうです。
「かわいいものを作って、みんなをハッピーにしたい!」
講師のこだわりが随所に感じられます。

そして、アーティスト活動で制作した作品の紹介です。
布を縫って作るコスチューム作品や絵のほか、壁や床から家具まで部屋がまるごと作品になっているものもあります。



11:40〜12:25
「コスチューム体験」
教室から多目的ホールへ移動すると、そこには床一杯に、色とりどりのコスチューム作品が置かれていました。
どの作品も一枚の布をミシンで細かく縫ってマス目を作り、その布を組み合わせて作られています。
講師が早速、制作途中だったパーツにミシンをかけ、一着のコスチュームを完成させました。
着てみると布が立体的に立ち上がり、手にしている時には気づきにくい面白い形が身体のまわりに浮かび上がります。

「着かたにルールはないので、みんな自由に着てみてね!」
成田先生の声で、コスチューム体験がスタートしました。服だけでなくネクタイやリボンもあり、めいめいに組み合わせてオリジナルの着かたを楽しみます。
着こなしが決まったら、撮影です。1人で、あるいは友達と一緒にポーズを考え、カメラの前に立ちます。最後に、クラス全員で撮影をしました。






13:30〜14:15
「らくがき刺繍」
講師が名づけた「らくがき刺繍」は、落書きをするように、自由に楽しく刺繍をするやり方です。今回は講師の顔がプリントされたハンカチ作品に刺繍をします。
ハンカチは、2月10日(木)に行った事前授業で児童に配られ、
「ハンカチにプリントされた先生が授業にくることをお家の人に伝える。」
「ハンカチに自由に刺繍をしてくる。」
と宿題が出ました。ミシンを使っても、家の人がやっても、何をしてもOK! というもの。
この宿題にはハンカチの刺繍が家族とのコミュニケ—ションのきっかけになればという願いが込められています。
準備日に工藤先生から「見本よりたくさん刺繍した」という児童もいると聞き、講師とスタッフ共に楽しみにしていました。覗いてみると、力作揃いです。授業では、更に刺繍を進めました。ほとんどの児童が刺繍は初めてでしたが、意欲的に取り組んでいました。ハンカチの顔が魅力的で、思わずやりたい!と思うのかもしれません。玉結びや玉どめもこなし、刺繍によってハンカチの顔がどんどん変わっていきます。講師と会話しながらのらくがき刺繍は、楽しくて、あっと言う間に時間が過ぎていきました。「らくがき刺繍」では、一列に並べられたテーブルに、講師手作りのテーブルクロスをかけました。いつもの多目的ホールが華やかな雰囲気に変わり、気持ちも弾みます。



 

14:20〜15:05
「発表」
拡大鏡でハンカチを写しながら、一番好きな刺繍を発表しました。眼鏡をかけていたり、髪型が変わっていたりとひとり一人、アイデアを凝らした作品が完成しました。中には家に持ち帰った際に、おばあちゃんやお母さんや兄弟など、家族が参加したり、一緒に縫った人もいました。ハンカチをきっかけに、話が広がったり、家族で一緒に楽しめるのは嬉しいことです。

 

 

 


「まとめ」
発表後、講師からハンカチは、ひとり1人違うステキなものが完成した事、今後も自由に楽しいことをどんどん見つけ自分の表現を続けてほしいという事、みんなと一緒にコスチュームを着たり、落書き刺繍できてとても楽しかったとお話がありました。講師も楽しんだ劇団CUE。麻布小学校が初の試みでしたが、楽しい活動だったので、今後も全国で公演を行いたいそうです!アートディレクターとして、アーティトとして、幅広く活躍する成田氏の全ての活動に共通しているのは、常に全力で自分らしい表現に取り組む姿勢です。本気だからこそ人の心を動かす成田久氏の世界に触れ、めいめいの表現をおもいきり楽しむ授業となりました。
完成したハンカチは全員分を一枚に縫い合わせて旗にし、校内に展示しています。
展示終了後、ハンカチは児童ひとり一人のもとに返却されます。


■おわりに
授業の実施にあたり、鈴木義治校長先生、関山康紀副校長先生、担任 余語 亮先生、図工専科の工藤仁美先生をはじめとする麻布小の先生方に、多大なご理解とご協力を頂きました。そして、音楽担当の中村太一郎氏、講師ドキュメンタリー撮影の影山二郎氏、アシスタントスタッフの永峰美雲さん、宮田彩加さん、緒方瞳子さん、高橋香織さん、新納布美さん、鳥塚英玲奈さんに力強いサポートを頂きありがとうございました。



どれだけ楽しんでスポットライトを浴びるかは自分次第
講師 成田 久(資生堂アートディレクター・アーティスト/1997年本学デザイン科染織デザイン専攻卒業)


出前授業?母校である多摩美がそんなことをしてることも知らず依頼がやってきた。大学などでレクチャーはしてきたが小学5年生が相手。かなり手強いな…、と楽しそうニコニコ。授業する事を承諾する。自分にはいろんなスキルがあるが、当初は何をコンセプトに彼らに授業を組み立てたらいいか迷ったが、校友会とのディスカッションからドンドンアイデアが湧き出た!溢れた!そしてラストにタイトルが歓喜の声と共に決定「君が主役★★★劇団CUE」。こんなスタイルの僕が来て授業をする、会いにやって来た事が目的。
ドキドキワクワク飽きさせない!3、4、5、6時間目の授業を舞台一幕一幕のように演出し、一人一人が主役。好き勝手に考え、どれだけ楽しんでスポットライトを浴びるかは自分次第。そーみんな僕を使って遊ぶのだ★僕は座長。授業という舞台。授業をして気づいてしまった。
これはもう授業という作品だった。旗揚げ公演ThankYouべりーマッチ!続く。