授業No.040
授 業:「みんなで文字文字しちゃおう」
対 象:横浜市立鴨志田第一小学校5年生48名
日 時:2012年2月7日
40回目の授業は、横浜市立鴨志田第一小学校にて、5年生48名の児童を対象に行いました。講師は、デザイナーの大日本タイポ組合の秀親さん('93グラフィックデザイン専攻卒業)と塚田哲也さん('93グラフィックデザイン専攻卒業)です。
今回の授業では、3〜4人が1グループとなり、自分たちのカラダと身近なモノを組み合わせて、影絵で文字をつくりました。できあがった文字はそのつど写真に撮り、最後にグループごとに発表も行いました。
文字のかたちを観察したり、文字づくりに必要なものを探したり、つくった文字がその文字に見えるか考えたり、友達がつくった文字が何か想像したりしながら、文字をつくりだすことを楽しみました。
講 師:大日本タイポ組合(秀親・塚田哲也/'93グラフィックデザイン専攻卒業)
2012.2.7 thu. 08:50〜 09:35
講師作品紹介・課題説明

大日本タイポ組合さんの自己紹介が始まりました。
ユニット名の由来の「タイポ」は「タイポグラフィー」=「文字」を意味し、文字を使ってさまざまなモノをデザインしています。
組み合わせかたによって、ひらがな、カタカナ、アルファベットと違った文字で同じ意味を表現できるバズル「TOYPOGRAPHY(トイポグラフィ)」や、漢字が罫線になっているノートなどが紹介されました。

次は課題の説明です。
授業ではグループごとに、自分たちのカラダと学校にある備品や家から持ってきた形の面白いモノを組み合わせて、影絵で文字をつくります。
体育館の寒さに負けないよう、講師が考案した「文字文字体操第一」をしてカラダを温めた後、くじびきで担当する言葉を決めました。

9:35〜10:20
カラダ+モノで文字をつくる

体育館には撮影コーナーが6カ所設けられました。各コーナーを2グループが交代で使います。
1回目のくじびきにあった言葉は、「あらし」「そぼろ」「おかめ」「ひふみ」「ゆへぬ」など16種類です。
「し」「つ」などの一筆で書ける文字に比べ、「ぬ」「め」「あ」などは画数が多い上に隙間やまるみもあり、なかなか難しそうでした。
あたったグループはどうやって文字を作るか皆で知恵を出し合いました。
寝っころがってみたり、カラダを曲げてみたり、モノを組み合わせたりと、スクリーンにうつる影を見ながら工夫を重ねました。
ポーズがとれたら撮影し、すぐに写真を確認します。思った通りの出来映えに思わず笑顔がこぼれます。

10:20〜10:40
講師の作品鑑賞

講師が持参した作品を机にならべ、自由に鑑賞しました。実際に使えるもの、遊べるものばかりとあって、どの作品も大人気です。授業の最初に紹介された「TOYPOGRAPHY(トイポグラフィ)」や、「P、L、a、y」の各ピースの向きや組み合わせを変えて文字がつくれるパズルは、皆、夢中になって遊んでいました。

10:40〜11:25・11:25〜12:10
カラダ+モノで文字をつくる

最初に講師が面白い文字をつくるヒントを紹介しました。
児童が家から持って来た、ウクレレ、洗濯ハンガー、ラケット、曲がる鉛筆など、形の面白いモノたちは、積極的に貸し借りすることになりました。
そして、遠近法をつかって人の影の大きさを変えたり、OHPフィルム投影機の上にモノを置き、拡大したモノの影と人の影を組み合わせるやり方などが紹介されました。光源からの距離の違いをうまく組み合わせることによって、さらに面白い文字がつくれそうです。

ヒントをもとに、さっそく実践です。OHPフィルム投影機に置く場所によっては、モノが宙に浮いているようにも見えることを発見した児童たち。
「た」「か」や濁音の点に使うそうです。
OHPフィルム投影機に置いたモノに加え、ボールを宙に投げて撮影するグループも現れました。

撮影は大変です。シャッターチャンスを逃がさないようグループ全員でカウントダウンをしながらタイミングを計ります。
そしてボールばかりか,中には人がジャンプするグループもありました。
講師もひとつ1つのグループをめぐり、全身をつかってアドバイスをしました。
文字づくりを重ねるほど、目指す完成度も高まっていきます。それだけに、納得いく写真が撮れると,あちらこちらで拍手がおこりました。

13:45〜14:30・14:30〜15:15
発表会

完成した言葉をグループごとに発表しました。どの文字もすぐに何の文字かわかってしまうほど素晴らしい出来映えです。
同じ文字でも、グループや撮影回によって人の数や組み合わせ方が違い、それぞれが独創的で面白い仕上がりになっています。
工夫した所や苦労したことなどのエピソードや、講師からのコメントを交えて楽しい雰囲気で発表が続きました。
こちらが児童のつくったひらがなの一部です。なんの文字かわかるでしょうか?
すべてのグループの発表が終った後に、講師からサプライズが発表されました。
講師が開発したアプリケーションをたちあげ、画面に入力すると、
児童がつくった文字で文章が現れました。すべてのグループの文字をあわせると、オリジナルの五十音表が完成するのです。
このアプリケーションは、授業が終った後に小学校にプレゼントされました。
オリジナル五十音表のプリントは、授業の後に講師から児童ひとり1人に配られました。

まとめ

「今日行った文字をつくりだす授業は、実は全身をつかう体育でもありました。
文字をつくるのにチームワークが大切なこともわかりました。」
「今日できた文字は、友達と一緒につくったものも、1人でつくったものもあるけれど、
それぞれに素晴らしいものができたと思います。」
と講師の二人からお話がありました。
全身を使い、友達と協力し、それぞれのこだわりやアイデアが形となった文字の数々。試行錯誤しながら文字をつくりだす面白さを味わい、完成した文字を見てつくりあげた達成感を感じたのではないでしょうか。
授業案作成にあたり、「デザイナーとして使えるものを作りたい」という思いがあった講師。児童が自分たちでつくったオリジナル文字を引き続き使うことで、文字、そしてデザインすることをより身近なものとして感じとってくれるのではないかと考えてます。


■おわりに

授業の実施にあたり、横浜市立鴨志田第一小学校の持丸隆一校長先生、河村真澄副校長先生、5年1組の土井茂先生、5年2組の伊藤さゆり先生、5年生付きの宇留間亮輔先生、本学卒業生でもある小川望先生('07 情報デザイン学科デザインコース卒業)をはじめとする先生方に、多大なご理解とご協力をいただきました。

講師 大日本タイポ組合 (デザイナー) 秀親 氏 塚田哲也 氏 

寒い体育館の中で小学生達は元気いっぱいタイトル通りもじもじしまくってました。簡単に出来ちゃった文字より苦労したものの方が、形がガタガタしていたりバランスが独特だったりして味わい深いですね。手で書いた文字とは全く違うし。身体をエビ反りさせたりして、わざと難しいポーズで作ってる子とかもいて面白かった。今回の制作は図工というより体育の授業の方が近い感じだったかな。意外だったのは簡単そうにみえる文字が実は難しかった事。例えば「き」の字の縦画のハネの部分とか。ジャンプしないと出来ないし、ジャンプのタイミングが少しでもズレると写らない。何度も失敗して、ようやくいいタイミングで写真撮れた時はとっても嬉しそうでした。上手くいった時の感じって大人も子供も変わらないですもんね。後半は投影機の上に物を置いたりして更に工夫出来る様になったのも良かったと思います。実際に文字が上手く書けるようになっていくのを見るようでした。