腹落ちできるまで粘り強く制作をしてきた経験が活かされている
株式会社ポリゴン・ピクチュアズ

1983年創業のデジタルアニメーションスタジオ。スマートフォン投票で展開が変わる映画「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」や、『スター・ウォーズ:ビジョンズ』Volume3の『The Bird of Paradise(日本語題:極楽鳥の花)』など代表作多数。日本のアニメーション技術と、独自の高度なCG表現力とを融合させ、クオリティの高い映像作品を継続的に創出し、コンテンツ・ビジネスにおけるリーディング企業を目指す。
https://www.ppi.co.jp/
2026年2月更新
表現の本質を見極めたうえでのコミュニケーションが重要

森晋司さん
株式会社ポリゴン・ピクチュアズ
人事部 担当者
弊社は1983年創立のデジタルアニメーションスタジオです。独自の高度なCG表現力を武器に、クオリティの高い映像作品を制作しています。世界的な人気を誇るコンテンツ『スパイダーマン』シリーズの最新作、『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』など、海外作品の実績を多く持つのも弊社の強みです。アニメ制作会社の価値は、ヒット作の数や興行収入が高い作品をどれだけ持てるかが重視されます。良い作品を生み出すため、引き続き営業戦略と映像の表現開発に注力していく方針です。
そうした中で活躍してくれているのが、石井さんをはじめとする多摩美の卒業生たちです。美術監督など、仕事の根幹となる重要なポジションを担ってくれています。

多摩美の卒業生に共通するのは、作品制作に対する誠実さ。“ものを作る”ことに対する熱量が高いので、現場で大きな力を発揮しています。大学時代、自分が腹落ちできるまで粘り強く制作をしてきた経験が活かされているのかもしれません。
もう一つは、言語化する力です。特に人に伝える力ですね。たとえば、人事担当である私とは、作品制作ではなく会社の業務に関する話をすることのほうが多いです。そういう場面でも、自分に求められていることを察知し、本質的なところを理解してくれます。そのうえで、適切な言葉を選択して意見や提案をしてくれるので、コミュニケーションが非常にスムーズです。多摩美の卒業生と会話をすると、そういった面でも優秀だなと感じます。
近年、生成AIが急速に進化したことで、アニメーターの仕事にも影響が出るだろうと言われています。実際、一部の表現技術に関しては、いずれAIが代替していくことになるでしょう。だからこそ今後重要になるのが、多摩美生のような、根幹を考えられる人です。表現の本質がなんなのかを見極め、チームでコミュニケーションを取りながら作品を構築していくことは、現場にいる人間にしかできません。皆様に喜んでいただけるようなアニメ作品を制作していくためにも、多摩美生のような人材は、今後我々が注力して確保していかなければならないと思っています。
悩んでいる間も、絵の基礎力と言語化する力を鍛え続ければ道は開ける

石井佐枝さん
2020年|版画卒
株式会社ポリゴン・ピクチュアズ
背景美術
私が現在担当しているのは、主に背景美術です。3D背景のテクスチャ制作や、版権で扱うポスターの背景を描いています。アニメの中の、大きな舞台美術を作るというイメージに近いかもしれません。直近では、映画『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』や映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』などを担当しました。基本的な一日の業務でいうと、ミーティングや部署内での進捗状況の確認のほかは、ほぼすべての時間、絵を描くのが私の仕事です。一日0.5〜1枚くらいのペースで描かなければならないので、進捗を確認する時間も惜しいくらいです。作品によってコンセプトがまったく違うため、その都度視点を切り替えるのが難しく感じることもあります。ただ、完成した作品の試写を観たときはやはり感動しますし、何事にも代えがたい達成感があります。

私は多摩美では絵画学科の版画専攻でした。学生時代、コンセプトを意識して作品を制作した経験は、社会人になった今すごく役に立っていると感じています。たとえば、制作した作品について“なぜその手法を選んだのか”を説明することを求められました。ただ絵が上手いだけでは人には伝わりません。手法とコンセプトがどう繋がり、その結果、どういう効果が生み出されているのか、自分の言葉で説明できるように繰り返し考えてきました。
仕事をするうえでも、この言語化する能力は非常に重要です。作品を制作する際は、表現の手法をチームで話し合いながら進めます。監督や美術監督が求めていることをチームで共有するためには、やはり言語化することが必須です。似たようなことを学生時代に多く経験してきて良かったです。
私はもともとアニメが好きでしたが、仕事にするのは難しいかもしれないと漠然と感じていました。でもいざ就活をするとなったとき、自分が一番熱量高く語れるものは、やっぱりアニメだったんです。ゲームや映像など、選択肢はたくさんありましたが、熱量の低い業界に行ってもほかの人と戦える気がしないと思い、アニメの道を選びました。多摩美の同期でアニメ業界に進んだ友人はほかにもいます。今も交流があって、たまに会ってはお互いの状況を報告し合っています。特に同じ背景美術に携わる友人たちとは共通の話題も多く、同業者として切磋琢磨する関係ですね。
就活では悩むことも多いと思います。私自身そうでした。でも迷っている間も、絵を描く基礎力とそれを言語化する力は鍛え続けてほしいです。この2つがあれば、どの道を選んだとしても物事が進みやすいような気がします。

