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現代に生きながらもの作りをする上で、土をこね、積んで乾かし、焼き固めるといった手仕事的な陶芸の工程は、一見すると最も古くさい手法に見える。
技法的にも土の性質、焼くことの不安定さ、常につきまとう壊れやすさ等の制約を抱え、どうしても現代性の希薄になりやすい素材であるといえる。
しかし、何故あえて私が土や釉を使い陶芸の技法で立体作品をつくるのかというと陶ほど、テクスチャ-に富み、多彩で豊かな表現力を持つ立体素材は他にないと言えるからだ。数々の制約の中に含まれている陶のマイナス的要素は、マイナスであると同時にプラスの緊張感や偶然性、危機感といった陶ならではの大きな魅力を生んでいる。
私はそれらの陶の要素の中でも釉薬で出来る表現に、陶の最大の魅力を感じる。土と釉薬、またそれらを焼くことによって生ずる効果や関係性は、他の素材では置き換えることの出来ない陶ならではの表現の可能性であり、最大の特徴である。 |
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