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本物と対極にある観念、偽物の表現を徹底することで本物的なものへ転化する試み。
本物とは偽物の存在によって成り立ち、偽物も本物によって成り立つ。
本物を探究する行為は、星をみる行為に似ている。星から放たれた光を見て思う。「どんな星なのか」と。
けれど、どんなに光の軌跡を追ったとしてもすでに星自体（実体）は存在しない。同様に偽物の中に輝く光を感じいくら追いかけたとしても本物（実体）はもう存在しないのである。つまり偽物には常に過去に存在していた本物の幻想がつきまとい、それをいくら追いかけたとしてもどこにも辿りつくことはない。そこには、どこにも辿りつくことのないもどかしさがあり、そのもどかしさこそ偽物から得ることのできる唯一のリアリティーである。
この作品の中には様々な偽物要素を含んでいる。更に偽物そのものをモデルとして「作品」にしてしまうことにより偽物から得られるリアリティーをも偽りのものとして扱う。全てを偽物として表現することによって、逆説的に本物へ近づき、偽物はより本物的なものへと転化する。 |
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