はじめに 現代における住居環境の多様化、個性化の欲求が高まるなかて現代人は自分自信の思想をもった創造的な生き方を指向するようになった。このように現代社会の人々は物的価値とともに精神的な豊穰価値をもっと重んじるようになった。 インテリアデザインの概念も飾るという単純な意味より美的機能とともに自分だけの独創的な空間演出のほめるインテリアファブリックスの重要性が再認識されている。 特にファブリックスは人々の生活の長い歴史の中で簡便に使用できる素材として生活を共にしてきた。また柔らかい触りと視覚的に多様な表現性のおかげで人間の身体的、精神的欲求を充足させる素材として過去から生活のなかで研究されてきた。続いて新しい素材が多々開発される中、改めてファブリックスが持っている柔らかさ、優しさ、装飾性、簡便性が今日の多様化した住居環境の中で最も適応したものである。 インテリアファブリックスは人間の生活の中でさまざまな形で使われている。その種類は壁面にかかわるもの床面にかかわるもの生活用品となるもの空間に吊られるものなどがあげられる。その代表的なものにカーテン・カーペットなどがあげられる。そのほかの生活用品として一般的に寝装具のほかにテーブルウエアーやクッション類、ベットクロスやブランケットなどがあり、日常の身の周りに近いところに存在するものである。 そのほかの空間を祈るファブリックスとして旗・飾り・日よけのほかにも、歴史的に宗教様式に使われてきったものなども多いが、日本の商店づくりを支えたのれんなども、その典型的なものの一つであろう。 近年、特に重視されてきた生活提案型インテリアファブリックスとしてホームファッションの概念が注目されている。 よりよい生活環境、室内環境を創りだすことが大切である今、インテリアファブリックスは生活デザインとしてとても大きい意味を持っていると思われている。 私はファブリックスと住空間とのかかわりをもっと深く考えて、住空間に使われたファブリックスの中でその代表的にカーテンを取り上げて調査、研究のテーマにしたいと思う。 A。カーテンの歴史 カーテンは、窓とともに発達してきた。窓は、ふつう採光と換気のために、壁にもうけられた開口部である。しかし、日本の窓と西洋の窓の使われ方は、大きく異となる。日本における現代の庶民住宅の窓は、明りとりとしての開口部的要素が強く、西欧の窓のように外部のもろもろの刺激を選択吸収する調節装置にはなっていない。これは、日本と西欧との歴史的背景にある。日本の住まいは、自然との適応において考えられ、窓戸というより間戸という感覚が強く、開口部が大きい。これに対して、西欧の住まいは、厳しい自然との戦いが感じられる。また民族、国相互の戦いのためか概して窓は小さく作られ、囲いの中で暮らしてきた。このように、日本と西欧では窓に対する概念の出発点が違うようである。 1。西欧のカーテンの歴史 かつて、西欧の建物は石やレンガによる組積造だったので、強度上、あまり大きな開口部を開けることは難しかった。宝、窓は必要最小限のものだった。 それが、16〜17世紀になって、建築技術、ガラス製造の技術がともに進歩して、大きな板ガラスをつくれるようになり、窓も大きくなっていった。そうすると、ときにはその窓をおおう必要が生じ、カーテンのような布地が窓装飾として使用されるようになった。 ところで、建築物や家具と違って、カーテンの耐用年数は比較的短いため、往時の原形をとどめるものがほとんどなく、わずかに絵画や写真などで推測するしかないが、実際にカーテンとして使われたもっとも古い例は、ローマ時代の絵画に見ることができる。ただし、それも窓に掛けているのではなく、壁面の装飾、室内の間仕切りとして使われていた。 各時代のカーテンがどのようなスタイルだったか、多くは推測の域を出ないが、窓まわりに布が吊られるようになったといわれるルネサンス以後から近代に至る、ヨーロッパのおもな時代様式とカーテンの関わりをどってみよう。 ルネサンスは再生を意味する言葉で、ギリシア・ローマの古典芸術の再生ということだが、たんなる模倣でなく、その精神を取り入れたものだった。この時代の建物の窓は小さく、窓ガラスも小さい。宝、カーテンは窓をおおい隠すためでなく、あくまでも窓そのものの存在を目立たせるための装飾だった。窓の上部と左右の三方に袖幕のように吊られているが、現代のような窓全体をおおうカーテンではなかった。 バロックとはポルトガル語の歪んだ真珠を語源とするもので、ルネサンスの古典美からの脱皮を図るかのように、イタリアからヨーロッパに広まり、フランスでルイ14世様式として確立した。ルイ14世は絶大な権力を握り、華麗で過剰なまでの装飾性を誇る貴族文化を築いた。カーテンも金糸・銀糸を織り込んだ華麗なブロケードが使われ、上飾りの録取り、フリンジなども複雑で、重厚な装飾がこのまれた。色調は彩度の高い糸、金、黒などが多く使われている。 バロック時代から建設が始まったヴェルサイユ宮殿がほぼ完成し、その庭園につくられた貝殻や岩石を用いた築山をロカイユと読んだことから、ロココの名が生まれたとされる。フランスでは、婦人を中心としたサロン風文化が花開き、衣装や家具も軽決で優雅な女性的スタイルが好まれるようになった。 カーテンも柔らかな朱子地を使い、ゆったりと長めに仕立て、床に引きずるようなゆとりのあるものになった。上飾りは渦巻き形の曲線を多様し、組紐の優美なタッセルが使われた。色調はアイボリー、金、紅色などが好まれた。 アンピールとはナポレオン1世の帝政時代に、古代ローマ帝国のような古典的荘重さを求めて生まれた様式という。当時のヨーロッパでは、ナポレオン旋風が吹き荒れ、ナポレオンのイニシャルNの花文字も流行した。カーテンは、この頃から厚手ドレープと薄手のレースカーテンの二重吊りが生まれ、上飾りにもスワッグバランスなどが見られる。 アールヌーボーとはウィリアム・モリスの工芸運動に刺激され、ヨーロッパに起こった様式。モチーブを花・葉・幹など自然の形状に求め、曲線による自由な意匠が生まれた。 建物も石造りから鉄筋やセメントで造るものに変わり、開口部も広くとられるようになった。カーテンも現代のカーテンスタイルとほぼ同じような左右に開閉するものになった。 コロニアルとは17世紀初めにヨーロッパ大陸からアメリカに渡った文化の様式。実用性を重んじるフロンティア精神に基づいた、簡素な装飾スタイルを特徴とする。 カーテンの上飾りも直線的かたちで、端にトリムを付けるぐらいの簡素なものだが、むしろ現代に通じる新鮮な感覚が感じられる。 2。日本のカーテンの歴史 日本でカーテンが用いられるようになったのは、長崎の出島に外国公館ができた江戸時代の初めごろといわれているが、日本人が使用し始めたのは幕末から明治時代にかけて、日本に近代化が訪れ、上流社会における洋風化が急速に浸透し、各国大使館をはじめ商館の日本進出に伴い、カーテンの需要がみられるようになった。 当時は、窓掛と呼ばれ、ほとんどが輸入品であり、高級品のイメージが強かった。カーテンという言葉が使用されるようになったのは明治末のことで、このころには綿、毛、絹、麻などを用いた国産品も生産されるようになった。大正時代になると、第一次世界大戦後の中産階級の幅が広がり、さらに関東大震災後の建築の近代化および洋風化も障子からカーテンへの転換に大きな影響を与えた。 第二次世界大戦後、特に昭和30年代に入ると、経済発達にともない住宅産業も発展したし、また生活水準の向上に伴い、生活者もインテリアに目を向けるようになった。当時に合機メーカー、紡績社会などがインテリアに注目し、カーテンの大量生産、大量販売が確立した。アルミサッシが普及し、透明ガラスの大きな窓が登場する一方で、合成繊維自体の品質の向上もみられ、多種多様なカーテンが生産されるようになり、カーテンは必需品となっていった。 最近の住宅ブームによって、カーテンを部屋の装飾として、壁や家具とコーディネートした使われ方が、インテリア雑誌によく見受けられるようになった。また、窓 の装飾をカーテン以外のウィンドウエレメントに求める傾向もみられるが、まだ部分的であり、一般家庭におけるカーテンは機能を求めることにとどまっている感じもする。 B。カーテンの役割 1。装飾機能 カーテンは機能ばかりでなく、装飾性も重要な要素である。ベネシャンブラインド、バーチカルブラインド、障子など多くのウインドウトリートメントのなかでも、カーテンはとくに装飾性に優れている。それは、布地の織り・色・柄が豊富であると同時に、さまざまなスタイルを表現できるからである。 2。透過機能 透過機能とは、適度に外部の光を取り入れ、しかもある程度外部の景色が見えるような透視効果をもつことをいう。カーテンのなかでは、レースやケースメントが透過性・透視性が高く、拡散したソフトな光を得ることができる。これらはまた、外部の光を適度に取り入れつつ、視線を遮る調視機能をもっているといえる。 3。遮断機能 外部からの視線を遮り、プライバシーを守る遮蔽はカーテンの大切な機能である。厚手ドレープを使えば問題はないが薄でドレープやケースメント、レースの場合は生地自体が透けることを考慮しておく必要がある。 特に夜間は、点灯した室内のほうが外部よりも明るくなるため、一応の遮蔽機能はあっても、室内にいる人のシルエットがカーテンに映ってしまう。 外部の明るさを遮るためには、遮光カーテンを用いる。また、普通カーテンを使う場合は、裏地を付けたり、暗幕などとの二重吊りにしたりする。ただし、生地による遮光が完全でも、吊ったときにカーテンのサイドや合わせ目、裾から光がもれてしまっては何にもならない。正しい採寸と吊り方が大切である。 断熱というのは外部からの熱気や冷気が室内に入るのを防ぐことをいう。断熱性を高めるためには、室内とカーテンの間にできるだけ密閉した空気層をつくることがポイントなので、天井付けにする、二重吊りにする、裾は床すれすれにする、などの工夫が必要である。 重いものほど遮音性が高いという原理からいうと、カーテンにはあまりその効果を期待できないといえる。吸音性は、室内の音が周囲の床・壁・天井に反響しないようにする性能で、低音域は重量のあるカーテン、高音域は織りが緻密なカーテンが効果的といわれている。 4。その他の機能 −室内を分解したり、二つの部屋を合わせたりして部屋を多目的に使用する。 −バスルームや水仕事場の水気を遮断する。 −目隠しやボロ隠しをする。 C。カーテン地の種類 1。ドレープカーテン 太い糸で織ったカーテンを総称して、ドレープカーテンと呼んでいる。厚手で緻密に織られ、織方としては、平織、綾織、朱子織、綴織、ゴブラン織、ふくれ織、など様々な変わり織もある。、 布地の厚みをだす方法として、複雑な二重組織や多重組織にする方法のほかに、織物の片面または両面にパイルをもつパイル織がある。これは二重織の真ん中をカッ トしてパイルを形成したもので、カーテン用としてはベルベットが代表的である。 最近の傾向としては、やや薄での軽やかなものが増えている一方、織物本来の美しさを追及した厚手のものも注目され、独特な質感を表現した商品が出てきている。 いずれも遮光、遮蔽、断熱、吸音などの機能性にすぐれ、しかもゆったりとしたヒダを表現する装飾性が高い。 素材はレーヨン、アクリルが多く、ナイロン、ウール、綿などの混紡品、カネカロン、コーデランなどがある。 2。プリントカーテン 無地カーテンに装飾性をつけるため、プリントによる後加工を施した布地を指す。 従来は薄地ドレープのなかに含めていたが、最近は高品質のプリントが多い輸入カーテンの影響でその種類も増え、分類して扱われるようになってきた。 図柄を生地面にプリントする方法は、ロールマシンプリントと、スクリーンプリント、転写プリント、ジェットプリントなど、そのほかに新しい技術開発が進んでいる。 ロールマシンプリントとは、表面に凹部をつくった円筒形の彫刻ローラーを使ったもので、大量生産に適している。 スクリーンプリントは技法別にみると、オーバープリント、転写プリントなどがある。 転写プリントとは、あらかじめ染料や顔料で印刷しておいた紙を圧着して、模様を転写する技法で、最近とくに注目されている。シャープで、鮮やかな線柄ができること、ハーフトーンやぼかしの表現もきれいにだせることが特徴である。プリント後の洗い、乾燥が不要なので、エコロジカルなプリントとされているがポリエステル50%以上を含むファブリクスにのみ可能な手法である。 最近は、ジャカード織物の上にさらにプリントしたものも増えており、これは深みのある柄と色調が特徴となっている。 3。ケースメント 主として可視性のある織物をケースメントと呼んでいる。レースに似た透視性を有し、ソフトな温かみがあり、そしてドレープのもつ重厚な風格も備えている。また、装飾性も豊かで、昼夜、四季を通して広範囲に使用できる。 織や柄に表裏がないことなど、ドレープとは異となった半透視性が心理的な間仕切りの役割を果たすため、室内各所に用いることができ、光をほどほどに遮り、かつ透かすため一重吊りでも使用することができる。 織物の組織は、ざっくりとした粗目の織り方なので、目ずれしやすいため、からみ織やヨコ糸に意匠糸を使うことが多い。 編物もあるが、伸縮性が大きく形状の安定度が悪いため、マリモやコウエニットなどの特殊編機を使うこともある。素材はレーヨン、アクリル、ポリエステル、綿、麻、ガラス繊維などが使用されている。 4。レースカーテン レースは透視性のある薄手の編物のカーテンの総称で、日照調節目隠し、装飾など、ドレープやプリントのカーテンと合わせ、二重吊りにするのが一般化されており、季節を問わず使用されている。レースは白が主流を占めているが色物もある。 レースにはタテ編とヨコ編が有るがタテ編のほうがヨコ編より寸法の安定性があるので、カーテンに使うレースはタテ編で編まれている。また、ラッセル編機によるものが主流を占めている。 編目の作り方にはマーキゼット、チュールといった種類がある。また、ヨコ糸を編目の中に通すヨコ入れラッセルという編機による織物のような風合いのものもある。 素材はポリエステルがもっとも多い。 5。特殊カーテン 遮光カーテン;遮光性を高めるために、特別の作りや加工を施されたカーテン。 遮光カーテンには黒糸を織り込んだもの、遮光性のあるものを中間にはさんでラミネート加工したもの、裏にコーティング加工したものの3種がある。遮光カーテンというと、以前は機能が優先されデザイン性に欠けたが、最近では布地の種類も多くなりデザイン性も高くなった。薄手で柔らかい風合いのもやプリントものなどが増えている。 完全遮光カーテンは、裏と表で素材が違うので特別な縫製となり、縫製が不良だと縫い目から光が漏れたりするので、通常のカーテンより縫製には注意が必要とされる。寝室や暗室など暗さが必要な部屋で使用するとよい。 ウォッシャブルカーテン;家庭用洗濯機で水洗いができるカーテン。洗濯機で洗った後の収縮率を少なくし、型くずれのないように作られている。糸、芯地も含め、素材はすべて収縮の少ないポリエステル100%。収縮を防ぎ、布の安定性を高めるために、緻密に織るなど織りの過程で工夫されている。ドレープ、レースともにある。 抗菌・防かびカーテン;カビや有害な菌の繁殖を抑制させる性能をもたせたカーテン。繊維に抗菌剤を付着させてあり、防カビ、抗菌の作用とともに、カビや菌の原因となる汚れを防止する効果もある。主に病院など特殊な施設で使われているが、シャワーカーテンには防カビ、抗菌加工がされているものもある。 遮音カーテン;鉛などをミックスした塩化ビニル樹脂をコーティング加工したり、鉛をいれた中間層をはさんでラミネート加工をしたものである。 これらは遮光性、断熱性も合わせもつので、省エネルギー効果もある。 重量は一般カーテンの3〜5倍有り、厚みもある。 耐光カーテン;耐光とは自然光線で変色がしにくいという性質。カーテン地には耐光基準値があるが、耐光カーテンは基準値より高い耐光性をもつよう加工されている。 遮熱カーテン;熱を遮る加工がされたカーテン。遮熱性とともに、遮光性もある。 また、普通ののレースカーテンと較べると、外から室内が見えにくい。 消臭カーテン;繊維に消臭剤を練り込み、悪臭を分解、中和して悪臭を消すというもの。アンモニア臭、メチルメルカプタンなどには効果を発揮するが、たばこや香水などには効果がない。おもに病院で使われる。 6。カーテンに準ずるもの カーテン以外のウィンドウトリートメントではブラインドやロールスクリーンなどが一般的である。カーテンがつかない天窓や変形の窓、雨戸のない和室などにもこれらの商品は種類が多く便利である。また、カーテンと組み合わせることで機能的にもインテリアとしてもウィンドウトリートメントの幅を広げることができます。 ロールスクリーン ロールスクリーンは四角カットされた布を上部の巻き取り装置によって巻き上げる布を使ったもっともシンプルなウィンドウトリートメントである。操作方法は下のバーについているコードやグリップを引いて上下させるスプリング式のものと、上部の巻き取り装置についているチェーンやコードを引いて操作するものがある。 以前は使える布がかなり限られていたが、最近は布の種類、デザインも幅広くなり、部屋のイメージに合わせて使えるようになった。 天窓・傾斜窓用ロールスクリーン;天窓や傾斜している窓に取り付けることができる構造のロールスクリーン。スクリーンの両端にワイヤーが通されており、このワイヤーにそってバーが上下に昇降して開閉するというもの。バーについている操作コードで操作し、高い天窓にも対応できる。より操作が楽なように電動式もある。またこのタイプにはカーブしている窓にも取り付け可能なものもある。 回転窓用ロールスクリーン;回転窓やドアにも取り付けができるので、傾斜窓用と同様、スクリーンの両サイドにワイヤーを通して、開閉のときにスクリーンがばたつかないようになっている。 小窓用ロールスクリーン;通常のロールスクリーンの最小サイズは幅が約30cmだが、それ以上の小さい窓に対応できるようメカを小堅にした小窓用のロールスクリーン。幅は20cmから製作可能である。 バス用ロールスクリーン;バスルームのタイルの壁にビス穴を開けずに取り付けられるロールスクリーン。壁と壁の間にテンション式に取り付ける。 ウォッシャブルロールスクリーン;スクリーンを取り外して、家庭の洗濯機で水洗いができるという便利なもの。特殊な糸を使って緻密に織り、ねじれないような加工がされている。 遮光ロールスクリーン;遮光性のある布をスクリーンに使用したもの。窓枠内に取り付ける場合、回りの光の漏れを防ぐフレームのついたタイプもある。 ベネシャンブラインド 横堅ブラインドは水平に組まれた薄い羽を回転させて外からの自然光や視線をコントロールすることができる機能的なウィンドウトリートメントなので、主にオフィスのインテリアとして普及してきた。スラットの素材はアルミニュウムが一般的である。 羽幅1.5〜2.5cmのブラインドが住宅で用いられ、羽の色は200色くらいある。両面で色が異なるツートンカラーや木目や石目の模様をプリントしたものなどたくさんの種類があり、カーテンやインテリアにあわせたカラーコーディネートができる。 最近は自然の木を羽に使ったウッドブラインドも人気がある。 横堅ブラインドは一般的な窓ばかりでなく浴室窓用・出窓用・傾斜窓、水平の天窓用など様々な窓の形に合わせた用途の広いウィンドウトリートメントである。 バーチカルブラインド 縦堅ブラインド;垂直に吊られた羽を回転して外部からの光やプライバシーをコントロールする。羽は住宅では布が一般的である。カーテンのように無地やプリント柄、ジャカードや遮光ルーバーなど種類が豊富である。羽幅は7.5〜8.0cmが多く使用される。カーテン同様左右に開閉するので庭やベランダへの出入りに使う窓には便利である。両開き・片開きができ、たたみしろもカーテンに比べコンパクトである。垂直に細長いスリムなルーバーが窓面を覆い、シンプルですっきりしたインテリアに適している。 D。カーテンの素材と加工 1。カーテンの素材 カーテンには種々の素材が使用可能であるが、カーテンの使用される場所や、要求される性能などによって素材を選ぶ必要がある。しかし、ドレープ性、寸法安定性、耐候性に劣る素材はカーテンには適さない。 カーテン素材として合成繊維が始める前には、ほとんどが綿・レーヨンなどの天然繊維・再生繊維であった。昭和30年代後半より合成繊維が生活の中に定着するようになり、洗濯収縮や色落ちなどの問題から品質安定の問題が大きくクローズアップされ始めた。昭和45年から50年にかけて住宅の規格化が進むにつれて、アルミサッシが増大し、それに伴ってカーテンの既製品が高まった。この場合カーテンの品質安定が不可欠条件となる。天然素材やレーヨン使いの場合、どうしても寸法安定性、耐久性が欠けることが問題となり、このため合成繊維の使用量が増してきた。 また、火災防止の意味からインテリア製品全般にわたって難燃性の問題がクローズアップされており、特にカーテンの場合は垂直方向に使用されるだけに重要な問題となる。難燃性素材として、難燃化アクリル、アクリル系カネカロン、ポリクラール、難燃化ポリエステルのように繊維自体を燃えにくい性質にしたもの、防炎加工をしたもの、不燃性繊維のガラス繊維などをカーテンに利用している。 綿;木綿の実の種子についた綿毛からつくる天然繊維。繊維にはリボン状の偏平な形によじれがあり、断面には中空があるので、柔軟性や保温性が高い。しかし、日光により黄変しやすく、かびが出やすい。 麻;リネンとラミーがある。リネンは細くて短く、しなやかな繊維。ラミーは太くて長い繊維でシャリ感がある。丈夫で吸水性が高い。 絹;繭から取った生糸を精練して練り絹とした長せんい。繊維の断面はほぼ三角形で、これにより美しい光沢が得られる。吸湿性に富むが、耐水性があり、染め上がりの探さにも特徴がある。紫外線に侵されやすく、かびが出やすい。 レーヨン;木材中のセルロース、または綿のセルロースを、化学薬品で分解しないように注意して溶解させ、得られたコロイド状の溶液を細い孔を通して押し出し、セルロースを再生させて繊維を得るため、再生繊維といわれる。 アクリル;石灰石や石炭のカーバイト、または石油からつくられるアクリロニトリルを共重合原料と重合させて紡糸したもの。合成繊維。 ポリエステル;石炭、石油からつくられるテレフタル酸と、石油からつくられるエチレングリコールとを合成させたもの。合成繊維。 2。カーテンの加工 織り上がったカーテン地に、風合いや機能、装飾性をもたせるために仕上げ加工をする。その加工は外観・形状に関する加工、特殊な性能を与える加工、デザイン性を高める加工に分けられる。 外観・形状に関する加工;風合いや量感、光沢をだして外観、形状を高めたり、布地の安定をよくする加工をする。 樹脂加工は織物に樹脂を染み込ませたり、表面に付着させたりして、風合いをよくする加工。さらに水分の吸収力が減るので縮みにくくなる、シワができにくくなるなどの性質を与える。もっとも一般的で広範に使用されている仕上げ加工である。 防縮加工は機械的に地のしを行い、収縮率をおさえて、縮みの発生を少なくするという加工。主に綿、レーヨンなどに加工される。 シルケット加工は綿に施す加工で、光沢をだし、布の寸法安定性、強度を高める。 特殊な性能を与える加工;防汚加工とは、汚れが付きにくく、汚れを落ちやすくするための加工。繊維内部に特殊機能材を練り込むことにより、繊維表面にほこりや汚れの粒子を反発するエネルギーバリヤー層をつくったものが代表的である。 その他に防炎加工がある。最近では多くのカーテンに施されており、一般的になってきた。防炎加工は布を燃えなくするというのではなく、消炎性や難燃性をもたせるもの。加工には糸段階で防炎加工を施す方法と、布地にしてから加工を施す方法がある。この加工方法の違いによって、防炎性能にも違いがでてくる。また後者の方法でも、布地の素材によって加工しやすいものとしにくいものがあり、防炎性能に差が生じる。ポリエステルは加工しやすいが、天然繊維やレーヨン、キュプラなどは加工しにくい。このように違いがでてくるので、洗濯による防炎性能の持続性の違いで四つの段階に分けられている。まず水洗い、ドライクリーニング後も防炎性能が変かしないもの、水洗い後は変かはないが、ドライクリーニング後は性能がなくなるもの、ドライクリーニング後は変かがないが、水洗い後は性能がなくなるもの、あと無図洗いドライクリーニング後は性能がなくなるものに分けられる。これらの防炎性能は防炎ラベルに表示されている。 デザイン性を高める加工;デザイン性を高める仕上げ加工は様々で、エンボス、モアレ加工など物理的な型付け加工やオパール加工のように薬品による加工などがある。 シワ加工は熱で収縮する強燃糸を部分的に使用。織り上がり後に加熱してシワをだす。 オパール加工は化学反応で溶ける繊維と溶けない繊維を混用し溶けた部分が透け模様を作る。 起毛加工は表面に毛羽をつくる加工。肌触りのよい温かい風合いをだす。 キルティング加工は2枚の布の間に線をはさみミシンでステッチをかけるもの。 ベッドスプレッドなどに用いられるが、断熱効果があるので、欧米ではカーテンにも使われることがある。 D。カーテンの演出 インテリア計画においては、まず全体のイメージを決め、次に床・壁・天井など大きな面の基調色を決めていくのが一般的である。だから、カーテン選びの段階では、そのイメージにしたがってスタイルや吊り方を決め、主に壁面仕上材の色彩やテクスチュアと調和するカーテン地を選ぶようにする。またそのとき、ソファの張り地、テーブルクロスなどとの調和・対比を考慮することも大切である。 1。リビングルーム リビングは住まいのなかでももっとも広く、開口部も大きくとられることが多いので、カーテンがインテリアに占める割合も大きい。 だから、様々な機能と同時に高い装飾性が求められる。レースとドレープカーテンの二重吊りが一般的だが、最近はレースやボイルで仕立てたローマンシェードとドレープの組み合わせも人気がある。いずれの場合も、床・壁・天井の仕上材やソファの張り地などとの調和を考えて選ぶことが大切である。 (写真1) インテリアの組み立てや素材の使い方は洋式だが、イメージを決めるライン や形、重要なアクセサリーを和の感覚でまとめたリビングルームである。 色は椅子張り地に合わせたクリーム色、ブルーでトリムをし、カラーコーディネートを図ると同時にラインを強調する。 デッキを巡らしたリビング。庭に面した場所なので、視線を遮る必要もなく、むしろ日中はデッキとの一体感を高めて広々感じられるように、タックバースタイルのローマンシェードですっきりした表情をつくりだした。ローマンシェードはカーテンのようにサイドに布地のたまりができないので、巻上げれば、開口部いっぱいに開放でき ことも魅力である。天井高ぎりぎりの窓枠上部に正面付けして、高さを感じられるようにしている。ソファのし色調にあわせてピンク系のプリント地を選んだ。 2。ベットルーム ベットルームでは、安眠のために、遮光、視線の制御、断熱・保温といった機能が求められる。遮光カーテンを使うことがもっとも簡単な方法だが、、色柄の種類が限られる。好みのドレープやプリントを使いたい場合は、それに遮光性のある裏地をつけたり、暗幕と二重吊りにする方法がある。カーテン生地を選ぶ時には、夜間の照明のもとでの色彩の見え方をチェックしベッドスプレッドとの調和を考えることが大切である。 (写真3) ファブリックスの魅力を最大限に生かしたインテリア。基調色は、落ち着いた色合いのブルー、ピンク、グリーンの3色。ドレープカーテンとクッションカバーは、その3色の糸でしっかりと織られたヘリボーン柄。そして、ベッドスプレッドとベッドヘッドの色調はピンクとグリーンのミックスで、柄違い。遮光性、断熱・保温性を高めるために、レース無地カーテン、ドレープの三重吊りにしている。 この無地がカーテンはとくに遮光性をもたせたものではないが、ドレープだけよ りは効果があると同時に、アクセントカラーになっている。ドレープの裏地とし たり、フレームのみに使っても効果的だ。 モダンでシンプルなインテリアにするために、窓は2か所ともロールスクリーンに している。透光性の高い生地を使ったスクリーンを窓枠内部に、窓枠の外、室内 側に遮光スクリーンとという二重吊り。 遮光性のロールスクリーンはこのように窓枠の窓枠の外側に付けて、サイドから の光をもらさないことが大切である。 二重吊りなので、睡眠時は両方を下ろして遮光し、昼間、書斎コーナーを使うときなどは、遮光スクリーンだけを上げて薄い生地を透過した柔らかい光を取り入れることができる。 ベッドスプレットにあわせた寒色系のダークな色調を選び、全体にシャープな印象をつくりだしている。 3。子供部屋 子供部屋といっても年齢によって求められる条件が違うが、ここでは幼児から学童までを考えたい。その場合、勉強部屋であると同時に選びの場であることが前提になるので、ウォッシャブルカーテンを使うと手入れが楽だ。 部屋全体としては、明るく、生き生きとした雰囲気を演出することがポイント。また色を選ぶ時には、教材や玩具など原色を使ったものが部屋中にあふれることを考慮しておく。 勉強机の前に設けられた小窓。色柄をタペストリー感覚で楽しめるロールスクリ ーンを窓枠の内側に取り付け、すっきりとまとめている。生地は不透明プリント なので、昼間も色柄がそのまま見える。ウォッシャブルタイプ。 タブカーテンが他と一味違うカントリースタイルの部屋。 多感な年頃なのでオリジナルであることも重要なこと。 ベッドスプレッドとお揃いのファブリックはフランス製の上等なものだが、タブカーテンは用尺が少なくすむので、コスト的には低く収まった。 4。キッチン キッチンは水、火を使う作業場。特にシンクやレンジまわりは、安定性と使い勝 手が必要とされる。しかも油などしつこ い汚れもある。そこで窓装飾にも、防炎、洗濯可能、作業の邪魔にならないすっき りした形などが求められる。 またキッチンで快適に仕事ができるように、明るい雰囲気を作るデザイン性も欲しい。 レンジに近い窓は安全性が第一。防炎加工されたウォッシャブルのロールスクリーンなら安全性があり操作も楽。 水洗い可能で汚れの多いキッチンには最適。取り替え用生地もあり手軽いに取り替えができる。 キッチンはやはりカントリースタイルのシンプルさが似合う。清潔感のあるブルーとホワイトのギンガムチェックを使う。作業テーブルの前の窓には、カフェカーテンとギャザーバランスの組み合わせ、もう一つの窓は、ロッドポケットカーテン。装状に縫ったヘディング部分に、木製の装飾レールを差し込んで吊ってある。 最後に このようにカーテンは住空間のインテリアになくてはならないものである。 インテリアの最大の目的は気持ちよい生活ができることである。最近は輸入ものの価額が下がってきたということもあって、プリント柄を2タイプつくり、季節ごとに掛け替えて楽しむ人がふえてきた。 毎年東京ではインテリアファブリックの見本市のジャパンテックスが開かれる。アメリカを始め世界の数多くの海外メーカーが出品されっていてインテリアファブリック市場はまさに追い風に乗っている。そして注目されるのは、インテリアファブリックの世界でも高質化がかなりの速度で進行していることで、業界内では高質化の平準化という言葉が使われている。つまり、高質なインテリアファブリックが大衆化になり始めた、というのである。ファブリックスの素材についても麻や綿・絹など自然素材・自然のモチーブが目立つようになり、近来はラオス・インドネシア・ベトナム・タイなど、アジアの自然なファブリックスが新鮮に感じられる。同じアジアの自然と手が生んだファブリックスをインテリアに生かす人が増えた。まさに、ファブリックスが主役のインテリア時代のである。 私は学生時代を通して住空間における人間とファブリックスの関係に興味を持ってきましたが今後もそのつながりのなかで自分なりのクリエーションをしてゆきたいと思っています。カーテンのデザインと演出は短いな一例であります。 終了制作における造形作品は色・形・テクスチヤーがかたりかける空間演出ノタメノ壁面オーナメントの一つとして提案制作しました。