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絵画は、単純に光学的に存在するものである。私はある主題に向かう。しかし絵画という物体は、私の主題を拒み、私から遠い場所に存在する。私は常に、物そのものに取り組まなくてはならない。人の抱くなまぬるいロマンチシズムに溺れることなく、物そのものを冷静に見つめなければならない。絵の具という物や、麻という物や、様々な事物を。制作を進めてゆく中で、私は二つの矛盾をかかえて取り組む。ひとつは、私の内なる地平、もうひとつは、現実の空間に晒された1枚の画布という地平である。このふたつは、いつも対立していて、なかなかひとつに溶け合うことはない。作品の完成というものは、その矛盾した二つの地平がひとつに溶け合った状態のことをいうのだろう。 |
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