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M・S・ゼインの自転車錠「クリプトナイト4」
Michael S. Zane
1976 |
学校では歴史を学んだマイケル・S・ゼイン(1948〜)は、イタリアのフィレンツェでしばらく過した後、父親が照明器具会社と板金工場を経営するマサチューセッツ州ボストンに戻った。ゼインは偶然、ある自転車錠の特許を自転車ショップの機械エスタン・カプランが持っていることを知る。そこで彼はカプランと共同で事業を興すが、1973年にこの錠のライセンス使用権を買い取り、カプランに特許使用料を支払うことで合意した。1971年当時のデザインについて、ゼインは次のように回想する。「オリジナルのクリプトナイトは50個しか生産されなかったが、現在のデザインに比べると鉄器時代の奇怪な遺物に見える」。彼は錠の改良のために、ユーザーや小売店、大学教授にアドバイスを求めた。錠の改良には新たな資本が必要だったが、父親の板金工場をプロトタイプ製作の場とすることで資金問題は解決した。1977年ゼインはついに特許のU字型部分とスチールパイプ製の棒状部を組み合わせることで、錠全体の重量を6から7分の1に減らすことに成功した。これに精巧なスチールパイプシリンダー錠エ一スII、特許の隠蔽型ヒンジが組み込まれた。「クリプトナイト」はロックすると棒状部からU宇部分が抜けない仕組みになっている。簡単に素早く施錠、開錠することができ、表面をビニールで被覆しているので、錠が自転車の塗装を傷つけることはない。また、盗難防止のために、ボルトカッターやケーブルカッターでも刃が立たない硬質炭素鉄合金を使用している。ゼインは、スーパマンの能力を失わせる唯一の物質であるクリプトナイトを、この錠の商品名とした。
【素材】スチール、ビニール
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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