須藤玲子客員教授による文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞記念の特別講義を開催

4月15日(月)、八王子キャンパスのレクチャーホールにて、テキスタイルデザイン・スタジオ「NUNO」を率いるテキスタイルデザイナーの須藤玲子客員教授による特別講義が開催されました。
生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻主催により、学科オープンで行われた講義には、多様な学科の100名を超える学生が参加しました。
須藤客員教授は、これまで伝統的な染織技術と最先端技術の融合により、革新的なテキスタイルを創出し続けています。また、産業の持続可能性にも着目し、その功績が認められ、令和5年度(第74回)文化庁芸術選奨の美術部門で文部科学大臣賞を受賞されました。この講義は、本賞受賞を記念して開催されたものです。
日本の職人技、地域特有のテキスタイルとのコラボレーションと、環境問題へのアプローチ
講義では、日本各地の高度な技術を持つ職人が生み出す奄美大島の泥染めや、広島県福山の藍染、京都府丹後の織物などの伝統的なテキスタイルと、NUNOとの共創から生まれた数々の作品が紹介されました。さらにNUNOが1984年の設立以来取り組んできた、製造工程から出る残布の活用方法、織りむら、染めむらなどの難点をデザインによって魅力に変えるプロセス、技術革新によるサステナブルな製法についても紹介。さらにアパレルや繊維業界が直面する大量廃棄問題や環境負荷の軽減への取り組みも紹介され、SDGsの目標であるサーキュラーエコノミーを考慮した課題と作り手の役割が話されました。
日本の共創の精神への国際的評価と、未来のクリエイターへの期待
講義の最後に、須藤先生は「日本のテキスタイルは、一人ひとりの職人の高度な技術による分業によって成り立っている。日本のものづくりが海外でも高く評価されている理由は、信頼関係に基づいた共創にある」と解説。さらに次世代を担う学生たちに向けて、世界に通用するクリエーションを創出することへの期待が込められたメッセージも送られました。
水戸芸術館現代美術ギャラリーでは5月6日まで、展覧会「須藤玲子:NUNOの布づくり」が開催されています。この展覧会は2019年に香港のCHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)で企画・開催され、その後ヨーロッパ各地を巡回しました。本講義でも話された、須藤客員教授と日本各地の職人、工場とのコラボレーションによる制作や、素材の可能性を広げる取り組みが紹介される展示となっています。
