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令和6年度芸術選奨 文部科学大臣賞を本学教員3名が受賞


令和6年度(第75回)芸術選奨の美術A部門にて、油画専攻の石田尚志教授(学長補佐・付属メディアセンター所長)と大学院EWS(エクスペリメンタル・ワークショップ)の塩田千春特任教授、美術B部門にて開発好明非常勤講師(版画専攻、彫刻学科、メディア芸術コース)が文部科学大臣賞受賞しました。

芸術選奨は1950(昭和25)年から続く文化庁主催の顕彰制度で、芸術の各分野において優れた業績を挙げた方に贈ることによって芸術活動の奨励と振興に資することを目的としています。

3月11日(火)に、贈呈式が都内にて行われます。

石田尚志教授:美術A(絵画(版画含む)・彫刻(インスタレーション含む)・工芸・書等の作家 等))

受賞対象:「石田尚志 絵と窓の間」展の成果

贈賞理由:身体的な行為の痕跡としてのドローイングで知られる石田尚志氏は、個展「絵と窓の間」において、絵具の層として重ねられていく絵画が、時間の層を内包する存在である意味を、制作過程の映像とキャンバスや壁画で構成するインスタレーションを通し提示した。また葉山の海に面した光差し込む展示室で会期中手掛けた壁画制作は、窓外の水平線の延長上に展開し、自然空間の時の流れと呼応する絵画への新たな取組ともなった。絵画と映像、物質とイメージ、空間と光の関係をめぐる40年に及ぶ考察と実践を、展示空間において鮮やかに示した意義は高く評価されるものである。

塩田千春特任教授:美術A(絵画(版画含む)・彫刻(インスタレーション含む)・工芸・書等の作家 等))

受賞対象:「塩田千春 つながる私(アイ)」展ほかの成果

贈賞理由:大阪中之島美術館で開催された個展「塩田千春 つながる私(アイ)」は、これまで氏が追求してきた「生きること」「存在の意味」というテーマに加え、パンデミックの時代を経て、人が生きる上で不可避の社会的な関係性という視点からアプローチした新作が出品されるなど、作家としての充実度の高さを示す内容だった。また中国、トルコ、チェコでの個展も開催され、生と死という根源的な問いを鮮やかでダイナミックなインスタレーションとして昇華させる氏の作品は、洋の東西を問わない普遍的テーマを探求する奥行きの深さゆえに、国際的にも広く認知されている。

開発好明非常勤講師:美術B(建築・デザイン・写真・映像・メディアアート・その他の新傾向の作家 等)

受賞対象:「ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ」展の成果

贈賞理由:開発好明氏は1990年代から、美術という枠を超え、社会の中で何かを起こす多種多様な作家活動を街中やアートフェスティバル、被災地等で行ってきた。展示可能な作品という形で残る表現が少なく、30年以上のキャリアの全貌の把握は困難だったが、個展「ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ」において、過去記録に加え、現在進行形の作家活動を展開、鑑賞者が自(おの)ずと参加者へ、さらに行為者となっていく構造を創出した。ほぼ毎日、何かが生じる展示への能動的参加を通して、作家が継続して行ってきたこと―一人一人の存在が社会を動かし、変え得る原動力となるという気付きをもたらした。

出典:令和6年3月3日文化庁報道発表「令和6年度(第75回)芸術選奨受賞者一覧」「令和6年度(第75回)芸術選奨 文部科学大臣賞 贈賞理由」