多摩美術大学|サーキュラー・オフィス 2023 年度 活動報告書
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9よね。最初に取り組みや行為があって、それを分かろうとして、後から議論が出てくるという順番です。理論がないと見えない世界もありますが、取り組みをしながら思想の言葉を紡いでいくことを研究面ではやっていきたいなと思っています。 実践は、実装しないとやっぱり意味がないし、社会実装をサーキュラー・オフィスでもちゃんとやっていきたいと思っているところです。済、全然違うサーキュラーデザインを実践していると思うんですよね。でも、そういうことって、日本でもともとやってたよねとも思います。過去に戻ってもう1回掘り起こすところから始めると、実は刺激やインスピレーションになって、非常にアート的、デザイン的だったりすると考えました。大貫 島根県にある群言堂は、温故知新ではなく、「復古創新」とおっしゃっていて。これまでのものを顧みながら、いかに新しい文脈の中で捉えていくか。今までを顧みたものをいかに新しく展開していくかということを暮らしの中でやられている方たちで、ぜひ一緒に探求したいと思いましたね。中村 同じように土着がキーワードになるんですけれども、表現系の取り組みをやってるファインアートとサーキュラーは、一見相反するようなところがあるんじゃないかというツッコミを受けたんですね。でも、人間の活動は本来的にぐちゃぐちゃしているんだろうと。綺麗な丸に収まることはないし、収まったとしたらそれは滅びる瞬間なんだと思うんですね。収まらないところでバランスを取っていくことが、ファインアートとか表現系との関わりで考えられるんじゃないだろうかと思います。 サーキュラーという概念をある意味壊してくれるような、その取り組みを真面目にやっている人たちに対するアンチテーゼみたいなものも、美術大学ならではの発信のあり方なんじゃないか。それもインクルーシブで一緒に考えていくことができるのは美術大学だからこそかなと思っています。関係性や距離感を、新たにしていく中村 ディスカッションしていたときに盛り上がったのが、研究の切り口として、「サーキュラー×デザイン」と考えたときに、取り組み自体はすでにもうたくさんあって、テーマはわりと見つかったんですけれども、その中でも尖った人たちの活動です。石川 作る、使う、捨てるの流れの中で、作り手視点では、作る、作らない、1回壊してみるのも選択肢です。使うだと、作り手の視点では使い続けること、直すこと。捨てるのところは、捨てる前提を変える、捨て方も含めてデザインするといったことがあると思います。しかし、これを頭でっかちにリサーチしていくのではなくて、やっぱりその土着の話がおもしろくて、地域に、我々がより幸せに生きていくヒントあるんじゃないかと思えてきました。 おもしろい事例では、VUILDさんは30km圏内の木材と技術だけで家を建てるってことで、小さな経ライフセンタードとは何か、あるいは美しさとは何かを問われると、内省的にならざるを得ません(大貫)

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