16知り、環境省を志しました。 2007年には、レンジャーとして新潟の佐渡に渡り、トキの野生復帰プロジェクトに関わりました。2008年9月に10羽のトキを野生復帰させて以来、佐渡に生息する野生のトキは約550羽まで増えています。 自然を守るだけじゃなくて活用できないか。佐渡での経験をヒントに出向先の国土交通省ではグリーンインフラという政策を立案しました。自然は、防災、減災やレクリエーションなど、多様な機能を持っている。新しい社会のインフラとして、自然を位置付けられないかという、提案であり概念であり実装の試みでした。最後の現場は沖縄でした。2021年に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が世界自然遺産となりましたが、それを登録するための準備をしていました。開催日:2023年12月20日(水)レクチャーシリーズ 第2回中村 今回のテーマは、「トキとアートと政策とデザイン」。大正大学 地域構想研究所の岩浅さんをお迎えしています。環境省の「レンジャー(自然保護官)」として佐渡島におけるトキの野生復帰プロジェクトに関わった方です。そもそも、なぜレンジャーを志したんでしょうか。岩浅 私は、いわゆる「里地里山」エリアでもある徳島県阿南市の出身です。かつては美しい棚田(山や谷間の傾斜地に階段状に作られた水田)が有名な場所だったのですが、ここ20年ほどの人口の減少による管理不足によりすっかり景色が変わってしまいました。「自然を守る仕事に就きたい」「まずは自然のしくみを学ぼう」と思い、筑波大学の生物資源学類に入学しました。そこでレンジャーという仕事を多摩美術大学リベラルアーツセンター/大学院 教授地域構想研究所 准教授岩浅有記大正大学中村 寛レンジャーは、「人」相手の仕事自然環境の保護や再生、持続可能な農業のあり方と、人の根源的な営みや欲求はどう結びつくのでしょうか。デザイン、政策、アート、自然、農業、地域、コミュニティ、これらの結びつきや緊張関係について、環境省の「レンジャー(自然保護官)」として佐渡島におけるトキの野生復帰プロジェクトに関わり、環境政策や農業政策、観光政策を実践してきた大正大学の岩浅有記さんに伺いました。トキとアートと政策とデザイン
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